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整形外科 外科
リハビリテーション科

骨端軟骨損傷 Salter-Harris分類

 小児は大人と違って骨端に軟骨が挟まっており、そこから骨が成長します。この骨端軟骨損傷を分類したものにSalter-Harris分類があります。骨端軟骨の損傷はレントゲンでは骨の間にある透明な隙間として描出されますので診断が難しいです。左右差があるかどうかが有力な手がかりとなります。レントゲンでは異常なくとも、骨端線に沿って圧痛があれば損傷と見なして治療をします。

 治療は転位が無く痛みのみの場合はシーネ固定もしくはギプス固定を、手指の場合はシーネ固定後バディテープ、転位が激しい場合は徒手整復後、ギプス固定を行います。固定期間は骨折に準じます。

  <Salter-Harris分類>
 I型 骨端線離開
 II型 骨端線離開し、対側の骨幹部に骨折線により三角形の骨片が生ず
 III型 骨端線を一部離開しそのまま骨端に向かって骨折する
 IV型 骨幹部から骨折し骨端線をまたいで骨端に達する骨折
 V型 骨端線の長軸方向への圧縮により挫滅が起こる

 I、IIは予後良好
 III,IV,Vは予後不良
 
 
 骨端軟骨損傷は単純レントゲン撮影では正常に見えることも多く、かならず両側を撮影して比較します。超音波断層撮影でストレスをかけて骨端軟骨が安定しているかどうか動的にみるのも診断価値があります。CTやMRIも有用です。長期間の観察が必要です。

 下肢の場合、転位がない場合はギブス固定をし免荷します。転位が著しい場合は、麻酔下に整復し鋼線固定やギブス固定を行います。

 骨端線損傷が起こった場合、骨端線早期閉鎖による短縮、内反・外反、屈曲変形、伸展変形などが生じる可能性があります。後遺症の治療には、骨端線骨性架橋の切除術、骨端線の成長抑制、延長術、強制骨切り術などがあります。
 
 
本日のコラム64 骨端軟骨損傷の分類(Salter-Harris分類)

 大人には無い小児特有のケガです。骨端軟骨は、成長期の子供の骨が伸びるために、骨に挟まっている板状の軟骨のことです。ここから骨が新生されて成長します。骨に比べて脆弱なため、外傷で骨折がなくとも、骨端軟骨が損傷していることがよくあります。

typeT:骨端軟骨の完全な分離。骨折を伴わない。
   幼少児。一般に成長障害は残さない。

typeU:高頻度に起こります。骨端軟骨の分離と骨幹端の三角骨片。
   年長児に多い。整復は容易で成長障害を起こす事は少ない。

typeV:まれ。骨端軟骨板の分離+骨端の長軸に沿った関節内骨折。
   まず関節面の整復を行うと軟骨板の整復も出来る。成長障害はほどんどない。

typeW:関節面から骨端軟骨板をこえて骨間端部にいたる縦骨折。
   上腕骨外顆骨折でよくみられる。成長障害(内反肘、外反肘)を起こしやすい。

typeX:長軸方向の外力で骨端軟骨板が圧挫される。
   足関節・膝関節などの加重が強く働く部位で起こりやすい。レントゲン上、転位がないため診断は困難。
   圧挫された軟骨板の早期閉鎖が起こり、成長障害や変形を来たし易く、最も予後不良のタイプである。