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整形外科 外科
リハビリテーション科

 
小児整形外科の他科疾患

 整形外科を受診する小児のうち、整形外科以外の疾患を鑑別することは大切です。


 ・眼性斜頚:筋性斜頚と異なり、頚椎の可動域は正常、患側閉眼で斜頸は戻る。頭部を斜頚位と反対に傾斜させると眼球の上下偏位が生じる。

 ・Duchanne型筋ジストロフィー:2-5歳頃に、易転倒性、階段昇降困難、走れないなどを主訴とする。筋力低下は近位筋優位。仮性肥大が腓腹筋に。採血でCK,LDH,GOT,GPT,アルドラーゼの上昇。

 ・シャルコー・マリー・トゥース病:両側下腿の筋萎縮と感覚障害、足部変形を特徴とする遺伝性末梢神経疾患。遠位の筋萎縮、筋力低下。逆シャンパンボトル型。

 ・ビタミンD欠乏性くる病:1-2歳頃に下肢のO脚を主訴に受診。生理的O脚との鑑別は3歳までは困難であることが多く、経過観察が必要。単純立位正面両下肢全長を撮影し、大腿骨遠位や脛骨近位骨幹端部に、骨端線の拡大、盃状陥凹、毛羽立ちを認める。脛骨骨幹端骨幹角(脛骨骨幹部の長軸と骨幹端の内外側を 結ぶ線の垂線がなす角)が10°未満であれば、ほぼ生理的O脚と考えられるが、画像からの鑑別は難しいので、採血を行う。(血清カルシウム↓、リン↓、AlP↑、副甲状腺ホルモン↑、血中25OHビタミンD↓)

 壊血病:ビタミンC(アスコルビン酸)の欠乏。極端なダイエット、神経性無食欲症、極端な偏食が原因。不足が6-12ヶ月続くと発症することが多い。歩行困難、下肢痛、足を動かさないなどが主訴となる。症状は、倦怠、衰弱、体重減少、全身の点状出血、歯肉の腫脹・出血、乾燥性角結膜炎、消化管出血、骨膜下出血。レントゲンでは、成長軟骨と骨幹端部移行部に帯状の石灰像、その遠位に骨透亮像をみる。化膿性関節炎との鑑別は炎症反応がない、白血球数が正常。食事歴、血中のビタミンC濃度が低値。

 ・白血病:小児の急性白血病は2-5歳をピークに発症。四肢・多関節痛、歩きたがらないなどが主訴となることがある。発症時に四肢の痛みや関節痛を約20-40%に認める。熱感や腫脹は無いこともあり、関節周囲の痛みだけのこともある。顔色不良でなんとなく元気が無く、局在のはっきりしない四肢痛や歩かない子供は白血病も除外診断する必要がある。レントゲンでは、骨吸収像、滑膜反応、骨幹端部にleukemic band(長幹骨の成長障害、白血病細胞の異常増殖)。画像診断としては、MRIが優れている。(全身の骨髄が侵されている場合は、すべての骨髄でT1強調像が低信号となり、正常像と間違うことがあるので注意。)

参考文献:Orthopedics 整形外科外来における他科疾患を見逃さないコツ 3.2017