表紙に戻る
池田医院へようこそ
信頼とまごころの医療
からだにやさしい医療をめざして

整形外科 外科
リハビリテーション科

距骨骨折 fracture of the talus

 距骨の骨折はまれで、骨折部位により頚部骨折、体部骨折、滑車部骨軟骨骨折に分けられています。

 頚部骨折は交通外傷でアクセルやブレーキに足を乗せていて強制的に背屈させられると起こります。転位の無い頚部骨折は5-6週間のギブス固定を行います。転位のあるものは腰麻下に徒手整復を行います。転位が改善されない場合は手術を考慮します。

 体部骨折は同様に転位の無いものはギブス固定を、転位のあるものは整復を行います。改善しない場合は手術を考慮します。
 
 滑車部骨軟骨骨折は骨折型に応じて治療方針を決めます。
 
距骨前方突起骨折
 足関節捻挫で合併することがある骨折。レントゲンで描出しにくいので痛みが続く場合は、再撮影やCT、MRIでの精査を行う。ギプス固定4週間程度。痛みが軽ければサポーターで治すケースもある。
 偽関節形成の場合は、骨接合もしくは骨片が小さければ除去術。

距骨後方突起骨折
 三角骨障害と鑑別が難しい。治療に関しては有痛性三角骨に準じて行う。明らかに受傷機転があり新鮮骨折である場合はまずギプス固定を選択する。(4週間程度)
  有痛性三角骨 os trigonum syndorome

 三角骨は距骨の後方突起のひとつである外側結節が分離・独立したものとされます。9歳前後に軟骨が二次骨化中心(骨核)が骨化して距骨本体と癒着していきます。これが妨げられて分離・独立したままとなります。超音波・MRIでは骨化する前に後方突起部の軟骨成分としてみられますので、14歳以下ではこれを安易に三角骨と診断すべきで無いという考えがあります。

 症状としては足関節の後方に痛みが生じます。特徴は足関節を下方に伸ばすと痛みが起こります。クラシックバレーやサッカー選手に多くみられます。原因は足関節を構成する距骨後方に余剰骨として三角骨が伸展時に足関節上面の脛骨下面に衝突(インピンジメント)して痛みを生じます。三角骨の成因(副骨説、インピンジメント説、骨癒合不全など)はよく分かっていませんが約10%の人にみられます。ほとんどが無症状ですが、過伸展する運動をする人に痛みが生じることがあります。

 治療は局所の安静や底屈を制限するテーピング、サポーターを行います。痛みが強ければシーネやギブスで固定します。生活指導としては伸展を制限するようにします。またステロイド+局所麻酔薬の注射が効果的なこともあります。多くはこれで症状の改善をみますがどうしても痛みが続く場合は三角骨を取り除く手術をします。スポーツ復帰は術後およそ6週間です。

 鑑別としては距骨後突起骨折、アキレス腱付着部症(炎)、腓骨筋腱炎、長母指屈筋腱炎があります。