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整形外科 外科
リハビリテーション科

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、内側上顆炎(ゴルフ肘) lateral humeral epicondylitis, medial humeral epicondylitis

 上腕骨外側上顆炎はものを持ち上げたり絞ったりする動作で肘の外側が痛みます。内側上顆炎は肘の内側に痛みが生じます。いずれも手や手首の使いすぎで起こります。外側上顆炎はテニスで起こることが多くテニス肘とも言います。外側上顆炎に比べて頻度は低いですが、内側上顆炎はゴルフで起こることが多いためにゴルフ肘とも言います。

 いずれも使いすぎによるものですから、治療は局所の安静が大切です。また痛い方向に向かってストレッチを少しずつ行うのも効果的です。これに加えて症状に合わせて装具療法や消炎鎮痛剤の内服、外用を行います。理学療法も効果的です。痛みが強い場合、ステロイドの局注が行われてきましたが最近の文献では、4週間程度の短期では効果がありますが1年後には理学療法より劣るとされています。従って急性期で痛みが強い場合を除いてステロイドの適応は少ないと考えます。

 外上顆炎はタイピングでも生じます。これは手関節を背屈させて打ち込むことが原因と思われます。パームレストなどを用いて背屈を軽減させることによって改善させることが可能です。スポーツや作業を同じように継続するとなかなかな治りません。1度負荷を減らすように2−3週間、気をつければ落ち着くことも多いです。頑固な上顆炎は鏡視下に手術をすることもあります。最近では、PRP療法(多血小板血漿療法)、体外衝撃波治療、なども行われるようになっています。

  
上腕骨外側上顆炎

 上腕骨外側上顆を共通の起始部とする短橈側根伸筋(停止:第3中手骨近位)、総指伸筋、小指伸筋、とりわけ短橈側手根伸筋(ECRB)の腱付着部症とされています。病理組織所見として炎症所見の無い血管線維芽細胞の過形成、腱の多発性微少断裂が起こっているとされています。滑膜ひだとの関連も示唆されています。

 テニス肘とも呼ばれていますが実際にテニスが原因となっているのは約10%にすぎません。

 約90%の患者で保存治療が有効で、残りの約10%は保存治療に抵抗性で、慢性化した場合は、手術療法が考慮されます。手術は鏡視下にECBR腱起始部の変性した部分を切除、また関節内(滑膜ひだや輪状靱帯の一部)の病巣切除を行うとしています。

 <治療>
 保存療法:テニス肘バンド、手関節伸展制限バンド、消炎鎮痛剤(外用、内用)、急性期が過ぎれば前腕伸筋群のストレッチ、筋力強化を行います。

 ステロイドの注射は短期的には効果があるが、3−6ヶ月後では有意差が無く、一時的な疼痛軽減にも病態の改善にも有効で無いと結論づけられています。懸濁性ステロイドを用いる場合は6-12週間以上の間隔をあけて多くとも3回以内にとどめます。ヒアルロン酸の局注、関節内注射が有効であるとの報告がなされているがしっかりとしたエビデンスはない。

参考:上腕骨外上顆炎 射場浩介 札幌医科大学整形外科教室 保存療法でなおす運動器疾患 Orthopedics 2015.10増刊