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 骨粗しょう症
粗しょう症は骨の中のカルシウムが少なくなって骨が弱くなる病気です。
骨折が起こるまでは痛みも有りませんので知らない内に徐々に進行します。
普段からしっかりと予防しましょう。

骨粗しょう症が心配な方はご相談ください。 
骨粗しょう症の予防〜日常生活の注意点〜
 運動 年齢や体力に応じた運動が必要です。体に振動が伝わる運動が効果的とされています。若い方ならバレーボール、バスケットバール、テニスなどがよいでしょう。高齢の方は散歩などの体の負担が少ないものがよいでしょう。
 日光浴 日光に当たるとビタミンDが活性型となります。骨を作るのを助けてくれる形になります。直接日光に当たらなくても日傘を差しても、日陰でも効果があります。
 カルシウムの摂取 牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品にはカルシウムが多く含まれています。また小魚・豆腐・納豆・がんもどき・ひじき・小松菜などもよいですね。

骨粗しょう症の診断・治療
 骨量の測定、骨代謝マーカーの測定、レントゲン撮影などを行い、骨粗しょう症の診断と治療を行います。
 骨粗しょう症は閉経後の方によく見られる病気です。骨が弱くなった状態ですが、最近では骨のカルシウム量だけでなく、骨の代謝、すなわち骨の出来る速度、つぶれる速度を骨代謝マーカー検査で調べることが出来ます。

 骨粗しょう症とは、骨の作られる量と削られる量のバランスが崩れて起こります。この起こり方によって治療の仕方が異なります。最近は様々なタイプの治療薬が出てきました。こういったものをうまく選択して治療します。
  
 骨粗しょう症の薬

 骨粗しょう症の治療薬としてよく使われるものとして活性化型ビタミンD3とビスフホスフォネート系があります。他にもビタミンK2、閉経後の女性に効果があるラロキシフェンも適時使用されます。重度の骨粗しょう症にはテリパラチド(副甲状腺ホルモンの活性部分)、モノクローナル抗体であるデノスマブが使われることもあります。

 ビタミンD3には、アルファカシドール、カルシトリオール、エルデカルシトールがあります。ビタミンDが欠乏するとII型筋繊維が萎縮し体幹の揺れが出ますが高齢者への活性型ビタミンD3を投与すると転倒を抑制します。またエルデカルシトールはより強力な骨量増加作用、椎体骨折抑制効果があります。副作用として血中高カルシウム血症に注意が必要です。

 ビスホスホネート系はエチドロネート、リセドロネート、ミノドロン酸、イパンドロネート(静注のみ)があります。いずれも骨を破壊する破骨細胞に取り込まれるとアポトーシスを起こし骨吸収を抑制します。ビスホスフォネート系は経口接種では腸管からの吸収がかなり悪く、また一緒に飲む水にミネラルが含まれていると吸収されにくくなります。当然、食事も服用30分は水以外は控えることが必要です。加えて食道炎を起こしやすいので朝一番の空腹時に服用し30分は寝転ばずに身体を起こしておく必要があります。

 更にビスホスフォネート系は長期投与で大腿骨骨折や歯科治療時に顎骨壊死を起こすことがあります。歯科治療を受けられる場合は、投与三年未満は服用を継続したまま治療し、投与3年以上の場合は3ヶ月の休薬期間が推奨されています。

 ビスホスフォネートの投与期間に関して明確に示した学会の指針や合意はありませんが、3-5年で休薬期間を設けるかの判断をするのが良いとする意見があります。骨粗しょう症による椎体骨折などを起こしている重症例では継続を、中等例では投薬を継続するか検討、軽症例では休止するといった個々の判断が必要となってきます。

 活性型ビタミンD3とビスホスホネートを併用したり、休薬期間のみD3に切り替えるといった方法がとられることもあります。
 
 骨粗しょう症 osteoporosis

 骨粗しょう症(骨粗鬆症)は文字通り、「骨」が「粗」くなって「鬆」(す)が入ることです。鬆(す)とは均一な空間内に出来た隙間を意味します。従って骨粗鬆症とは、骨に鬆(す)が入りがもろく弱くなった病状を表しています。英語表記では、osteoporosisと書きます。osteo「骨の」、porosis「空間に穴が空く」という意味です。


 骨は常に吸収され、新生されて入れ替わっています。骨を吸収するのが破骨細胞で、骨を作るのが骨芽細胞といいます。この骨形成と吸収のバランスが保たれることで、ほぼ一定に維持されています。逆にバランスが崩れ、骨吸収が上回ると骨粗鬆症となってしまいます。実際には非常に複雑なメカニズムで骨代謝のカップリングが行われています。

 ヒトの骨量は20歳代で最大に達し、女性の場合は閉経期まで一定に保たれます。男性は閉経がないため、高齢でも比較的正常値を保ちます。

<骨粗鬆症の病態>

 骨粗鬆症は、骨強度の低下により骨折のリスクが増大した骨格系の疾患と定義されます。骨強度には骨密度と骨質の2つの要因があり、骨質は骨微細構造、石灰化、機質などにより規定されるが、臨床的な評価は難しい。従って定量的に計測できる骨密度が骨粗鬆症の程度を表す指標として用いられています。 
 
<骨粗鬆症の種類>

 原発性:閉経や加齢により破骨細胞による骨吸収が骨芽細胞による骨形成を上回り、骨量が減少する
 続発性:副甲状腺機能亢進症、甲状線機能亢進症、Cushing症候群、ステロイド性
 
<診断基準と薬物開始基準>

 まず、続発性であるか否かを診断し、続発性の場合は原因となっている疾患の治療を行います。

 原発性骨粗鬆症で骨粗鬆症の薬物治療を開始する基準は
*脆弱性骨折が大腿骨近位部骨折または椎体骨折がある
*脆弱性骨折が大腿骨頚部、椎体以外にある→YAM80%未満
*脆弱性骨折はないが、YAM70%以下
*YAM70%〜80%で両親いずれかの大腿骨頚部骨折、FRAX(骨折リスク評価ツール)で主要骨粗しょう症性骨折10年確率15%以上

骨粗鬆症の治療経過観察は骨量測定、骨代謝マーカー、脊椎レントゲン撮影などを定期的評価に加えてQOLや骨折リスクに対する評価を行う。
 
 <骨代謝マーカーを用いた薬剤の選択>

 骨粗鬆症の診断の確定
 ↓
 骨代謝に影響する薬剤を確認(服用があれば、少なくとも1ヶ月は中止。ビスフォスフォネートは少なくとも3ヶ月〜6ヶ月休止)
 ↓
骨吸収マーカー、骨形成マーカーの測定
 ↓
1.骨吸収マーカーが基準値上限以内:骨折の有無、骨量の程度、危険因子、合併症などを考慮して薬剤を選択
2.いずれかのマーカーが基準値の上限以上→転移性骨腫瘍などの骨疾患や骨・Ca代謝異常の再確認:あり→3へ、なし→4へ
3.基礎疾患の治療を優先
4.骨吸収マーカーが基準値上限以上→骨吸収抑制作用の薬剤
  骨形成マーカーが基準値以上→骨折の有無、骨量の程度、危険因子、合併症などを考慮して薬剤を選択
  

<骨粗鬆症の薬物治療における骨代謝マーカー(病態改善効果を判定するのマーカー)>

 原発性骨粗鬆症診断の確定
 ↓
 骨代謝マーカー測定による治療薬の選定#1(1,2,3,4、5)
 ↓(薬剤別効果判定のマーカー)
 1.骨代謝評価困難:ビタミンD3(エルデカルシトールを除く)、イブリフラボン、カルシウム、カルシトニン
 2.ucOC:ビタミンk2
 3.PTH:P1NP、BAP(骨型アルカリフォスファターゼ)→テリパラチドは津了解し1-3ヶ月後のP1NP上昇が有効
 4.ビスホスホネート#2、SERM、エルデカルシトール、エストロゲン:NTX,CTX,DPD,TRACP-5b
 5,治療薬未確定:上記すべての検査から吸収マーカーと形成マーカーをそれぞれ1種類を選択

 *ucOC:骨粗鬆症におけるビタミンK2 剤の治療選択目的で行った場合または治療経過観察を行った場合に算定できる。ただし、治療開始前においては1 回、その後は6 ヵ月以内に1 回限り算定できる。
  #1 ビスフォスフォネート服用者は少なくとも6ヶ月、その他の骨粗鬆症治療薬は1か月休薬してから測定
    テラバチドによる治療については未確立。骨折発生時には24時間以内に測定
 #2 長期ビスフォスフォネート治療予定者は、骨吸収マーカーとBAPあるいはP1NPを測定
 
 <実地診療における治療継続性の判断>

 骨粗鬆症のにおける薬物治療(骨吸収抑制剤) 効果判定のながれ

 1.治療開始前に骨吸収マーカー・骨形成マーカーを測定
 2.投与開始3-6ヶ月後に骨吸収マーカーを治療効果評価のために再測定(保険適応は投与開始6ヶ月以内)
 →骨吸収マーカーが最小優位変化(MSC)を越えて変化する。または閉経前女性の基準値内に維持されている・・・・現在の治療を継続→3へ
 →骨吸収マーカーが最小優位変化(MSC)を越えて変化せず、閉経前女性の基準値内に達しない・・・原因の排除、原因がなければ薬物の変更も検討
 3.6ヶ月〜1年程度の間隔で骨形成マーカーを再測定
 →基準に達しない→薬物の再検討
 →基準値内に維持される→現在の治療を継続
 →基準値の下限値以下に抑制→長期に渡れば休薬、中止などを考慮

 *保険診療では、骨吸収マーカー(例:NTX)は、骨粗鬆症の診断時1回、治療開始後6ヶ月以内に効果判定の目的で1回、投薬を変更ご6ヶ月以内に1回と制限されています。
 *また3-6ヶ月に一度、血液検査や尿検査を行うようにします。

 *脊椎X線に基づく治療評価は、経過中に新規骨折の有無が重要です。  

 *骨代謝マーカーは骨吸収抑制剤を用いている場合は、治療開始約3ヶ月で骨吸収マーカーが低下します。骨形成マーカーはさらに3ヶ月ほど遅れます。したがって、治療開始後、3-6ヶ月後に骨吸収マーカーを、開始6-12ヶ月後に骨形成マーカーを測定することが望ましい。

 <薬剤の選択、継続について>

 原則、単剤で開始し、その後の経過観察で効果が不十分、頭打ちの場合や、重症例、骨折リスクが高い場合は、より効果の高い薬剤へ変更するか、作用機序の異なる薬剤を併用します。アレンドロネート(フォサマック、ボナロン)と活性型D3との併用によって、治療開始早期から新規椎体骨折抑制効果が認められています。特に既存椎体骨折2つ以上、SQグレード3の椎体骨折を有する場合は、併用効果が高いことが明らかになっています。

 <薬物治療実施期間>
 
 いつまで薬物治療を行うかは、コンセンサスはなく、基本的には効果と安全性が確認されている3-5年程度は問題ないとされています。長期治療を行う場合は、リスクとベネフィットを勘案します。特にビスフォスフォネートは投与期間3-5年とし、5年以上では効果が頭打ちするとされています。それ以降はケースバイケースで重症例や多発圧迫骨折例では継続される場合もあります。継続が必要でも可能であれば、1年程度の休薬を行うのがよいとする意見もあります。

 *副甲状腺ホルモンのテリパラチドは、生涯にわたって2年間(連日投与製剤)、あるいは18ヶ月(週1回投与製剤)でのみ投与が認められています。治療期間後には他剤へ切り替えます。

 参考:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015

 <新しい薬剤の評価>

 1.テリパラチド酢酸塩:ヒト副甲状腺ホルモンの断片で、主に海綿骨骨密度を強力に増加させます。連日投与と週1回製剤があります。
 2.デノスマブ:破骨細胞文化に必要なRANKLと結合することで骨吸収を抑制。顎骨壊死は6年間、2,343例のうち6例の報告。
 3.イバンドロネート:静注可能なアミノビスフォネート、経口投与が困難な患者。

  生活習慣病と骨粗しょう症との関連
 続発性骨粗鬆症のうち疾患関連骨粗鬆症の代表例として生活習慣病関連骨粗鬆症が位置づけられており、コントロール不良の2型糖尿病、stage3の慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、高血圧、脂質異常症などがあります。

 慢性腎臓病(CKD)ではstageG3まではビスフォスフォネートの有効性と安全性はおおむね問題ない。GFR35ml/min以下では十分な検討が成されておらず、今のところ推奨されていない。
 
 <ステロイド性骨粗鬆症>

 薬物介入を考慮:グルココルチコイド用量、投与期間:5mg/日以上、少なくとも3ヶ月。→%YAM80%以下、毎年骨量測定、既存椎体骨折ありは投薬。カルシウム、ビタミンD補給(全例)。
 ビスフォスフォネートを第1選択薬。第2選択として活性型ビタミンD3,ビタミンK2。

 薬物管理の流れ

 経口ステロイドを3ヶ月以上使用中もしくは使用予定
 ↓
 一般的指導
 ↓
 危険因子の評価(既存骨折、年齢、ステロイド投与量、骨密度)
  スコア3以上 薬物治療:第1選択:アレンドロネート、リセドロネート。代替え治療薬としてテラパラチド、イバンドロネート、α-カルシドール、カルシトリオール
  スコア3未満 経過観察 スコアを用いた定期的な骨折リスク評価(6-12ヶ月毎に胸腰椎単純レントゲン撮影、骨密度測定)

 
 危険因子  スコア 
 既存骨折  なし   0
あり  7
年齢    50未満  0
 50-65未満  2
 65以上  4
 ステロイド投与量 
PSL換算mg/日  
 5未満   0
 5-7.5未満  1
 7.5以上  4
 腰骨密度
 %YAM  
 80以上  0
 70-80未満  2
 70未満  4
(ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2014年度改訂版)

薬剤性骨粗鬆症(ステロイドを除く)
 
  薬剤性骨粗鬆症を引き起こす可能性のある薬剤  
 アロマターゼ阻害剤   乳がん   アリミデックス、フェマーラ、アロマシン
 LH-RHアゴニスト  乳がん、前立腺癌    リュープリン、ゾラデックス
 抗アンドロゲン薬  前立腺癌  カソデックス、オダインなど
 チアゾリジン誘導体    2型糖尿病  アクトス
 SSRI  うつ病  パキシル、ルボックス、ジェイゾロフト
 抗けいれん薬  てんかん  アレビアチン、デパケンなど
 ワルファリン  血栓塞栓症  ワーファリン
 ヘパリン  血栓塞栓症  ヘパリン
 ループ利尿剤  浮腫、高血圧症  ラシックスなど
 プロトンポンプ阻害剤    消化性潰瘍、逆流性食道炎    タケプロン、ネキシウムなど
 カルシニューリン阻害剤    臓器移植  ネオーラル、プログラフなど

骨粗鬆症性椎体圧迫骨折

 <分類:SQ法 半定量的評価法>

 椎体の形態異常でGrade分類されています。Grade1以上なら骨粗鬆症性椎体圧迫骨折(OVF)と診断されます。(もちろん、骨粗鬆症がベースに存在することが必要)

 単純X線像にて、目視で前壁、中央、後壁のいずれかが椎体高の減少

 Grade1 20〜25%以上
 Grade2 26〜40%
 Grade3 41%以上

 *仰臥位と立位での骨折椎体の可動性は30%程度

<MRI>

 圧迫骨折後、1年を経てもT1低信号、T2で高信号を示すこともあるので受傷時期の特定はある時点の1回のMRIでは困難。 1ヶ月後に再検査して経時的に比較するとよい。

 一般に受傷から1ヶ月間で、T1強調像は低信号のエリアが拡大しピークを形成します。
  従って、2回目(初回検査より1ヶ月後)のMRIで、T1強調像において

 低信号が拡大→初回検査時の時点で受傷2週間以内
 低信号が縮小→初回検査時は受傷1ヶ月ごろと推察される

*融合不全を起こし易いのは、T2限局性高信号あるいは広範囲低信号およびT1広範囲低信号で起こりやすい。
*悪性腫瘍を疑った場合は、受傷2ヶ月以降のMRIや生検を検討

 重要:病的骨折はMRIで、急性期のT1,T2強調像では鑑別困難とされている。理由は椎弓根の信号の変化や信号変化の辺縁不整像、造影効果などは骨粗鬆症性椎体圧迫骨折受傷後2ヶ月頃までみられるため。
  
 <投薬のポイント>
 骨密度は重要ですが、椎体骨折あるいは大腿骨近位骨折の既往がある患者には、急性期、慢性期を問わず、骨粗鬆症を投与します。(骨粗鬆症が起こりうる年齢、疾患があることが条件であろう。)
 <無痛性椎体圧迫骨折>
 骨折歴と身長低下が重要。椎体骨折の6割は無痛性です。身長の低下は重要で、20歳頃に比べて2p以上になれば、椎体骨折が存在します。また円背が進行すれば椎体骨折が起こっている確率が高いとされています。
 <薬物治療>
 Aランク:3年間の大規模臨床試験で骨折が優位に減少したエビデンスがある薬剤
 エルデカルシトール(エディロール)
 ビスホスホネート
 SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)
 副甲状腺ホルモン
 抗RANKL抗体(デノスマブ→商品名プラリア)

 *Aランク以外の薬剤が必ずしも「治療効果がない」というわけではありません。
<第一目標>
 第1目標は骨折の予防ですが、除痛も重要です。
<使い分け>
椎体骨折がない 比較的若い方はSERM
椎体骨折が1-2個 ビスホスホネート、デノスマブ
椎体骨折が多発(3個以上) 副甲状腺ホルモン

大腿骨近位骨折 Aランク ビスホスホネートのアレンドロネートとリセドロネート、抗RANKL抗体のデノスマブ→後期高齢者

 *A判定の薬剤がつかえないときは、「まだ証明されていない」C判定の薬剤を使うことで骨折抑制効果は期待されますし、無治療で放置することは避けます。

   骨密度   椎体骨折   非椎体骨折   大腿骨近位部骨折 
 活性型ビタミンD3    アルファカシトール  B B
 エルデカルシトール 
 ビスホスホネート     アレンドロネート
(フォサマック、ボナロン)
 リセドロネート
(アクトネル、ベネット)
 ミノドロネート
(ボノテオ、リカルボン)
 イバンドロネート
(ボンヒバ)
 SERM(エビスタ、ビビアント)
(選択的エストロゲン受容体作動薬) 
 ラロキシフェン(エビスタ)
 バゼトキシフェン(ビビアント)
 カルシトニン  エルカトニン
 副甲状腺ホルモン   テリパラチド
 テリパラチド酢酸塩
 抗RANKL抗体  デノスマブ(プラリア)
 ビタミンK  メナテトレノン(グラケー)
骨密度A:上昇効果ある B:上昇効果を示した報告がある C:上昇効果があるとの報告がない
骨折 A:抑制する B:抑制するとの報告がある C:抑制するとの報告がない

主な骨粗鬆症治療薬の有効性評価(骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015より)
  
 <食事と骨粗鬆症>

 カルシウム摂取は重要ですが、1日の踵腓エネルギーに見合う食事量が取れているか、さらには適正体重が維持されているかどうかがより大切です。70歳以上の適正体重はBMIで21.5−24.9です。朝昼晩三食がしっかりと摂れているか、また栄養バランスがよいかどうか。低栄養、低体重では骨粗鬆症になってしまいます。動物性・植物性タンパクの摂取を含めた食事量と適正体重をチェックし、食事指導を行います。これらの後に、はじめてカルシウム、ビタミンD、ビタミンKの摂取の話になります。

 タンパク源である魚や肉は最低でも1日1回は摂取することが必要で、できれば、朝は卵、昼は魚、夜は肉と形で食べるのが大事です。

 <運動と骨粗鬆症>

 骨粗鬆症の予防に運動はとても効果的です。特に骨に振動が加わる運動がお勧めです。高齢の方は歩くのが一番適しています。水泳は骨に振動が起こらず効果がありません。また転倒防止のために、腹筋や背筋加えて下肢筋力を強化するのがよいでしょう。実際には年齢や筋力などを勘案して運動メニューを作成し指導します。

 
 
 本日のコラム27 骨は硬ければ良い?(骨粗しょう症)

 みんなが長生きする時代になり、骨がスカスカになる骨粗しょう症が社会問題となっています。骨粗しょう症の予防は、運動、カルシウムの摂取、日光浴が大切です。ところで骨の評価には「固さ」「質」があります。固さはカルシウムの量で測定できますが、質は今のところ測定する手段が無く、医療機関や健康診断では固さを測定しています。

 固くてももろい骨もありますので、単純に骨量が増えたからといって骨の質が上がった訳ではありません。私見ですが、骨の質を良くするには、食事で十分なタンパク質を摂ること、継続して運動をすることと考えています。運動の種類は、骨に振動の伝わる散歩がよいでしょう。もちろん可能な方はジョギングやランニング、そのほか跳んだり跳ねたりするスポーツも効果的です。水泳は骨に振動が伝わらないので、骨粗しょう症の改善にはなりません。

 長期に骨量を計測している方をみていると、やはり歩行などの運動が十分確保されていて、活動性が高い方は骨の減り方もゆっくりで、骨のお薬を併用することによって、骨量が増えることもよくあります。