池田医院へようこそ
信頼とまごころの医療
からだにやさしい医療をめざして
整形外科 外科 リハビリテーション科

動揺性肩関節 Loose shoulder

動揺性肩関節(動揺肩、Loose shoulder)

20歳代までの若年者で両側性に多くみられる。肩関節がもともとゆるく抜けそうな感じや不安感を覚える。(脱臼はない)疼痛、運動制限、脱臼感、不安定感が出る。臼蓋後下縁や肩峰の形成不全があり、挙上位でスリッピング現象がでる。

原因ははっきりしていない。手を下方に引くと肩関節から上腕骨頭が下に移動するのが分かる。診断は手におもりをつけてレントゲン撮影を行い下垂するのを確かめる。治療は肩関節周囲の筋肉を鍛えるようにする。

保存療法;局所安静、鎮痛剤、局注、筋力強化、協調運動訓練、スポーツの制限、重いものを持たない。
手術;glenoid osteotomy、関節縫縮術、大胸筋腱移行術

参考:肩関節脱臼・反復性肩関節脱臼・習慣性肩関節脱臼

エビデンス:病態・診断

動揺性肩関節(多方向性不安定症)は、外傷がなくても関節包がもともとゆるいことなどにより肩が複数の方向へ不安定になる状態で、全身の関節のやわらかさ(全身性靱帯弛緩)を背景に生じやすいとされます。診断では、腕を下方に引いたときに骨頭が下がるサルカスサインなどの所見が重視され、まず運動療法(リハビリ)が治療の基本になると総説にまとめられています(Hippensteel ら. J Am Acad Orthop Surg. 2023)[1]

エビデンス:治療

治療はまず保存療法が優先され、腱板や肩甲骨まわりの筋肉を鍛えて肩を安定させる段階的なリハビリテーション・プログラムが有効とされています(Watson ら. Shoulder Elbow. 2016)[2]。保存療法の効果を検討した文献レビューとメタ解析でも、多方向性不安定症に対しては運動療法を中心とした保存的治療が第一選択として推奨され、改善が得られない場合に手術が検討されると報告されています(Kłaptocz ら. Pol Przegl Chir. 2021)[3]

エビデンス出典(全3件)を見る
  1. Hippensteel KJ, Uppstrom TJ, Rodeo SA, Warren RF. Comprehensive Review of Multidirectional Instability of the Shoulder. J Am Acad Orthop Surg. 2023;31(16):871-880. PMID: 37071881.
  2. Watson L, Warby S, Balster S, Lenssen R, Pizzari T. The treatment of multidirectional instability of the shoulder with a rehabilitation program: Part 1. Shoulder Elbow. 2016;8(4):271-278. PMID: 27660660.
  3. Kłaptocz P, Solecki W, Grzegorzewski A, Błasiak A, Brzóska R. Effectiveness of conservative treatment of multidirectional instability of the shoulder joint. Literature review and meta-analysis. Pol Przegl Chir. 2021;94(1):6-11. PMID: 35195081.

参考:『肩学』 / 『スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション』 / 『肩関節のMRI 読影ポイントと新しい知見』 / 『関節外科』2024年3月号