軸椎歯突起後方偽腫瘍 Retro-odontoid pseudotumors
比較的稀な疾患で、歯突起後方にメカニカルストレスや炎症性疾患により偽腫瘍を形成します。炎症性疾患として関節リウマチ、透析、CPPD(カルシウムピロリン酸結晶沈着症calcium
pyrophosphate deposition disease)などがあります。保存治療と手術療法があります。
保存治療:軸椎歯突起後方偽腫瘍がみられても無症状の場合は経過観察。症候性であっても頚部痛などの軽微な症状のみの場合、頚椎カラーなどの治療を行う。
手術療法:前方法、後方法(後方固定術、C1後弓切除術、後方経硬膜摘出術) 圧迫性脊髄症がみられる場合に考慮する
前方法 理にかなった手法ではあるが、高難度、経口的であるため感染や髄液漏などの重篤な合併症が問題
後方法
1.後方固定術(後頭頚椎固定術、環軸椎固定術) この偽腫瘍は環軸椎亜脱臼などの不安定性により生じることが多く、偽腫瘍を摘出せずとも後方固定術のみでで退縮が期待出来るので、第1選択とされることが多い
2.C1後弓切除術 全身状態が良くない場合や、高齢者が対象。全身状態が許せば後方固定術が望ましい
3.後方経硬膜摘出術 後方から経硬膜的にアプローチする方法。
エビデンス:偽腫瘍を摘出せず後方固定術のみで退縮する
非リウマチ性の歯突起後方偽腫瘍を後方固定術で治療した症例の検討では、偽腫瘍を摘出しなくても術後に経時的に縮小し、12か月時点で診断時の約半分まで退縮したと報告されており、偽腫瘍を摘出せず後方固定術を第1選択とする考え方を支持します(Niwa ら. Neurospine. 2021)[1]。
エビデンス出典(全1件)を見る
- Niwa R, Takai K, Taniguchi M. Nonrheumatoid Retro-Odontoid Pseudotumors: Characteristics, Surgical Outcomes, and Time-Dependent Regression After Posterior Fixation. Neurospine. 2021;18(1):177-187. PMID: 33819944.
参考:『整形・災害外科 2022.8 上位頚椎疾患・外傷の病態と治療』