要約
SAPHO症候群は、無菌性骨炎や骨過形成と、掌蹠膿疱症、重症ざ瘡などの皮膚症状を組み合わせて生じる炎症性疾患群です。前胸壁、特に胸鎖関節、第一肋骨、胸骨柄周囲は代表的な病変部位です。
1. 主な症状
- 胸鎖関節から胸骨周囲の慢性的な痛みや骨性腫脹
- 症状が再燃と軽快を繰り返す
- 手のひらや足の裏の膿疱
- 重症のにきびやほかの皮膚症状
- 脊椎やほかの関節の痛み
皮膚症状と骨関節症状は同時に現れないことがあり、皮膚症状が目立たない場合もあります。
2. 検査
CTでは骨硬化、骨皮質肥厚、骨びらん、骨過形成などを、MRIでは骨髄浮腫や活動性炎症を評価します。骨シンチグラフィーで胸骨柄と両側胸鎖関節に牛の頭のような集積を認めるbull's head signは診断を示唆しますが、すべての患者さんに認められるわけではありません。
3. 治療
NSAIDsが初期治療として用いられます。難治例ではビスホスホネート、従来型抗リウマチ薬、生物学的製剤、分子標的薬などが検討されます。
エビデンス:SAPHO症候群の治療
SAPHO症候群の治療は、まずNSAIDsを中心とし、難治例ではビスホスホネートや生物学的製剤などが選択肢となることが、システマティックレビューでまとめられています(Li SWS ら. RMD Open. 2023)[1]。
4. 他の胸鎖関節・胸骨部の痛みとの違い
肋軟骨炎やTietze症候群と異なり、SAPHO症候群では胸鎖関節や胸骨柄周囲の骨性腫脹が慢性的に再燃と軽快を繰り返す点、また掌蹠膿疱症や重症ざ瘡などの皮膚症状を伴うことがある点が特徴です。皮膚症状が目立たないこともあるため、慢性・再燃性の胸鎖関節部痛では本症候群も念頭に置く必要があります。
5. 早めの受診が必要な症状
次の症状がある場合は、早めの受診が必要です。
- 胸鎖関節から胸骨周囲の痛みや腫脹が慢性的に再燃を繰り返す
- 掌蹠膿疱症や重症のにきびを伴う
- 脊椎やほかの関節の痛みを伴う
- 発熱を伴う急速な発赤・腫脹(化膿性関節炎との鑑別が必要)
6. まとめ
SAPHO症候群は、胸鎖関節や胸骨柄周囲の慢性再燃性の痛み・骨性腫脹と、掌蹠膿疱症などの皮膚症状を組み合わせた炎症性疾患群です。NSAIDsを中心に、難治例では生物学的製剤などを含めた治療が検討されます。
エビデンス出典(全1件)を見る
- Li SWS, Roberts E, Hedrich CM. Treatment and monitoring of SAPHO syndrome: a systematic review. RMD Open. 2023;9(4):e003688. PMID: 38151265.