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整形外科 外科 リハビリテーション科

尺骨突き上げ症候群


尺骨突き上げ症候群 ulnar impaction syndrome

手関節は手根骨と橈骨、尺骨で構成されています。この疾患はは尺骨が相対的に橈骨より長くなってTFCCや手根骨を突き上げ圧迫し痛みを起こします。慢性の圧迫はTFCCの変性断裂、月状骨・三角骨近位の関節軟骨軟化、月状三角骨靱帯変性断裂を引き起こします。

尺骨が長くなる原因は生まれつきのこともありますが、橈骨遠位端骨折、Essex-Lopresti損傷、骨端線損傷などの外傷でも起こります。突き上げ症候群が起こると手関節を尺側に曲げると痛みが生じます。テニスでスピンをかける動作、手をついて立ち上がる、ドアノブを回す、蛇口を捻る、タオルを絞るなどの動作で痛みが出ます。

尺骨プラス変異に多いのですが、まれに尺骨マイナス変異でも起こります。周辺の手根骨の障害(月状骨尺側、三角骨の骨軟化症)やTFCC損傷の原因となります。プラス変異が2.5mm以上であれば、DRUJ不安定性を伴った尺骨突き上げ症候群を示唆する所見です。

保存治療は、消炎鎮痛剤、装具、理学療法などを行います。痛みが保存治療で改善しない場合は、尺骨短縮術が一般的に行われます。

*Essex-Lopresti 損傷

橈骨頭骨折に遠位橈尺骨関節脱臼、前腕骨間膜の損傷を伴ったもの。治療に難渋することが多い。
 

エビデンス:尺骨プラス変異と月状骨形態(危険因子)

尺骨突き上げ症候群では尺骨のプラス変異(尺骨が橈骨より相対的に長いこと)が確立した危険因子であり、月状骨の形態も特発性尺骨突き上げ症候群の危険因子となると報告されています。(Park JH ら. Bone Joint J. 2017)[1]

エビデンス:尺骨短縮骨切り術

保存療法で改善しない例に対する尺骨短縮骨切り術は代表的な術式で、ワーファー切除術と比較したメタ解析では、尺骨のプラス変異が大きい例で尺骨短縮術がより良好な結果を示すと報告されています。(Yu H ら. Int J Surg. 2022)[2]

エビデンス出典(全2件)を見る
  1. Park JH, Jang WY, Kwak DH, Park JW. Lunate morphology as a risk factor of idiopathic ulnar impaction syndrome. Bone Joint J. 2017;99-B(11):1508-1514. PMID: 29092991.
  2. Yu H, Wang T, Wang Y, Zhu Y. Ulnar shortening osteotomy vs. wafer resection for ulnar impaction syndrome: A systematic review and meta-analysis. Int J Surg. 2022;104:106725. PMID: 35738540.

参考:『関節外科』2023年4月号 / 『関節外科』2023年6月号 / 『関節外科』2022年6月号 / 『上肢MRI 読影の一手 2708画像からみた定跡』 / 『手外科診療ハンドブック 改訂第3版』