池田医院へようこそ
信頼とまごころの医療
からだにやさしい医療をめざして
整形外科 外科 リハビリテーション科

脊髄震盪

脊髄振盪(cervical_cord_neurapraxia)一過性四肢麻痺

ラグビー等のコンタクトスポーツや柔道などの格闘技系のスポーツで起こることが多い。他のスポーツでも起こります。頚椎の脊痛冠狭窄例で多く発症するので、復帰には注意が必要とされています。

強い外力によって起こる一過性の頚髄の障害が生じます。片側上肢のみに症状の出るBurner症候群(神経根から腕神経叢障害)と異なり、四肢麻痺の形態を取ることが多いが、両上肢、両下肢、片側上下肢の麻痺を呈することもあります。

症状は一過性で、数分から遅くとも48時間以内に完全に回復します。ごく軽度の中心性脊髄損傷と考えられています。

典型的な症状は、焼けるような痛み、しびれや刺すような痛み、感覚鈍麻やアロデニア症状(触ると痛み))があり、運動麻痺は軽度の筋力低下から完全麻痺まで幅があります。

診断としては、上述の一過性麻痺に加えて、画像上、頚椎の骨折や脱臼が無いことが前提となります。MRIでは信号の変化は基本的には認めないがT2強調像でごく僅かに高信号を認めることがあります。

治療は、当初は他の重篤な疾患との鑑別が困難なため、専門の病院に救急搬送することが望ましい。頚部骨折の有無、脱臼の有無などを精査します。麻痺が改善し痛み等の頚部症状が無くなるまで頚椎カラーを装着します。
3週間ほど経過したら頚椎の動態撮影を再度行うようにします。

スポーツ復帰に関しては、初回で麻痺の時間が数分以内で、MRIなどに所見が無く、不安定性も無ければ、ほかに異常所見も無ければ、1週間以内に徐々にトレーニングを開始することも可能です。ただし、2回目以降や麻痺の時間が長いもの、脊柱管狭窄がある場合などは慎重な判断が必要となります。 

エビデンス:MRI T2高信号と競技復帰

コンタクトスポーツ選手の頚髄震盪では、症状がなく身体所見が正常で脊椎不安定性がなければ、MRIのT2高信号があっても必ずしも競技復帰の禁忌とはならないと報告されています。(Tempel ZJ ら. Neurosurgery. 2015)[1]

エビデンス:層別化した段階的復帰

頚髄震盪(一過性四肢麻痺)を来した若年アスリートでも、先天性の脊柱管狭窄やMRI異常信号がない例では、段階的な管理を経て競技復帰しうると報告されています。(Jo J ら. Neurosurgery. 2024)[2]

エビデンス出典(全2件)を見る
  1. Tempel ZJ, Bost JW, Norwig JA, Maroon JC. Significance of T2 Hyperintensity on Magnetic Resonance Imaging After Cervical Cord Injury and Return to Play in Professional Athletes. Neurosurgery. 2015;77(1):23-30. PMID: 25793731.
  2. Jo J, Anesi TJ, Vance EH, Sills AK, Zuckerman SL, Bonfield CM. Retrospective Case Series of Spinal Cord Neurapraxia in Male Adolescent Athletes: Can These Athletes Return-to-Play? Neurosurgery. 2024;95(2):339-346. PMID: 38358270.