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整形外科 外科
リハビリテーション科

手指関節脱臼 dislocation of finger

 指をぶつけたり捻ったりすると手指の関節(PIP関節、DIP関節)が脱臼、亜脱臼します。レントゲンで骨折や脱臼を確認し治療します。

 PIP関節脱臼(骨折)PIP関節は指の近位にある関節です。これが脱臼すると骨折を伴うことが多く、関節が不安定なものや骨折で関節面がずれているものなどは状況により修復手術が必要となります

 関節が安定しているものは保存的に治療しますが、PIP関節は可動域障害(拘縮)がきわめて起こりやすいところですので長期の固定は避け、早めに可動域訓練を行うようにします。


 DIP関節脱臼は骨折が無ければ用手整復をして固定します。骨折があれば、状況に応じて保存的治療、手術を選択します。
 
DIP関節脱臼
 脱臼のみが単独で起こることは稀で、ほとんどで伸筋腱、屈筋腱の剥離を伴います。多くが背側脱臼で、整復後、2−3週間伸展位で固定します。稀に屈筋腱などが関節に嵌頓して整復困難な場合は手術が必要です。
 経験的には用手的に軽く牽引すると整復されることが多い。
 
PIP関節脱臼

 大きな外力が掛かるとPIP関節で脱臼が起こります。脱臼の方向によって側方脱臼、背側脱臼、掌側脱臼、回転外力による脱臼に分けられます。

<PIP関節側方脱臼>
 側方脱臼は側副靭帯と掌側板の断裂を合併します。側方ストレス撮影を行い30度以上の不安定性を有する場合は靱帯再建を勧めます。不安定なまま放置すると断裂組織の瘢痕化や炎症により疼痛や腫脹が改善しない、またOA様変化を来すことあります。30度以上の不安定性のあるもの、陳旧例で痛みの継続するもの、断裂組織が介在するものは手術を考慮します。

 保存的治療はストレステストで30度以下で動揺性の無いもので行います。外固定は背側副子でPIP関節約30度屈曲位、またはバディテープ法を行う。骨折を伴わない場合は2週間固定をします。急性期の炎症が消退すればただちに可動域訓練を行うようにします。(関節拘縮の予防)

 手術療法は端端縫合もしくはアンカーピンによる固定を行います。

<PIP関節背側脱臼>

 PIP関節の脱臼は多くは背側脱臼で掌側板の断裂や中節骨基部掌側顆部骨折を伴います。簡単に整復された場合や裂離した骨片が大きくなく転位や回転がほとんどない場合は保存的に治療します。それ以外は早期に手術を行います。無理な整復で損傷をひどくしないことが大切です。

<PIP関節掌側脱臼>

 まれに掌側に脱臼することがあります。伸筋腱中央索の断裂によりボタンホール変形となりやすいので新鮮時に再建術を行います。

<回転外力によるPIP関節脱臼>

 ねじれによる皮膚軟部組織の裂創を伴い血行再建が必要なこともあります。



 ボールによる突き指。左小指PIP関節背側脱臼となっています。レントゲンで骨折の有無を確かめた後に、用手整復しました。
側方への安定性も十分あり、手術せずに治療することにしました。
 
 小指PIP関節脱臼

 転倒し、左小指の背側脱臼しました。用手整復しシーネ固定を行いました。


 


 



整復後のレントゲンはやや過伸展気味ですが、可動域は正常に戻りました。