黄色靱帯骨化症 OFL ossification of the yellow ligament(ossification of the ligamentum flavum)
後縦靭帯骨化症や前縦靱帯骨化症と同じように脊椎の靱帯が骨化する病気です。これらと同時に合併することもありますし単独で起こることもあります。
黄色靱帯は上下の椎弓間を架橋し、脊柱管の後壁と側壁を構成する靱帯です。骨化することにより脊髄神経を後ろから前に圧迫します。これにより神経症状が出ます(下肢のしびれ、脱力、膀胱直腸障害など)。骨化は胸椎より下方に出ることが多いです。
アジア人に多く、胸椎部の脊髄・神経根圧迫症状を起こす代表疾患となっています。下位胸椎から胸腰椎移行部に多く頚椎での発症はほとんどありません。調査によると30歳以上で発生することがほとんどで、30歳以下ではほとんどありません。最近の報告では30歳未満でもアスリート特に野球のピッチャーで黄色靱帯骨化症による手術例があります。右投げなら左側の肥厚が大きくなる傾向があります。
症状は患側の肋間神経痛、下部胸壁の痛み(違和感、張り感、筋肉痛様)を中心に、時に下肢のしびれや下肢筋力の低下が起こります。
診断はMann試験陽性に加えて、レントゲン、MRIを行い、CTによる精査が必要です。保存的な治療を行って改善しない場合は手術を考慮します。
Mann試験:両足を前後につけて起立し閉眼させます。体幹が動揺し10秒以内に足の位置がずれる時を陽性とします。脊髄後索路障害による平衡機能障害の可能性があります。
症状に応じて治療方針を決めます。
エビデンス:胸椎黄色靱帯骨化症の診断
黄色靱帯骨化症は胸椎に多く、脊髄症の原因となり、CTでの硬膜骨化(tram-track/comma sign)の評価が術前診断で重要とシステマティックレビューでまとめられています。(Zhao Y ら. Eur Spine J. 2023)[1]。
エビデンス:手術(除圧)
胸椎黄色靱帯骨化症に対する手術では、内視鏡下除圧と開放椎弓切除の成績がシステマティックレビュー・メタ解析で比較されています。(Kumar V ら. Neurosurg Rev. 2024)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- Zhao Y, Xiang Q, Jiang S, et al. Prevalence, diagnosis, and impact on clinical outcomes of dural ossification in the thoracic ossification of the ligamentum flavum: a systematic review. Eur Spine J. 2023;32(4):1245-1253. PMID: 36877368.
- Kumar V, Bansal P, Ksheerasagar VP, Dhatt SS. Comparison of endoscopic decompression to open laminectomy in patients with thoracic ossified ligamentum flavum - a systematic review and meta-analysis. Neurosurg Rev. 2024;47(1):345. PMID: 39037535.
参考:『脊椎脊髄J2020.4 脊椎脊髄疾患に対する分類・評価法』 / 『脊椎脊髄ジャーナル 2021.10 頚椎椎弓形成術の現在と今後』 / 『脊椎脊髄ジャーナル 2021.12 脊椎脊髄手術の再手術症例における手術の骨と留意点』 / 『脊椎脊髄ジャーナル2022.4 実況!私の診察室』 / 『エッセンシャル 脊椎・脊髄の画像診断』 / 『脊椎脊髄J2020.2 脊柱靭帯骨化症 up to date』