強剛母指 pollex rigidus
生後三ヶ月頃になって親指が第一関節で曲がって伸びないことに気がつきます。原因は不明です。経過を見ていると80%で自然に改善します。改善しない場合は狭くなった腱鞘を切離します。
乳幼児の母指(親指)の強剛母指 (Pollex Rigidus)
乳幼児期にみられる、母指(親指)の第一関節(IP関節)が曲がったままで、伸ばしにくくなる状態を指します。「ばね指」の一種です。
症状:
母指の第一関節が曲がったままで、他動的にも完全に伸ばせない。
母指の付け根あたりに小さなしこり(腱の肥厚したもの)を触れることがある。
多くの場合、痛みは伴いません。
通常、生後数ヶ月から1歳くらいまでに気づかれることが多いです。
原因:
母指を曲げる腱(屈筋腱)が、腱鞘(腱が通るトンネル)の入り口部分で太くなったり、腱鞘自体が狭くなったりすることで、腱の滑らかな動きが妨げられるために起こります。原因は明確にはわかっていません。
診断:
主に視診と触診で診断されます。母指の第一関節の伸展制限と、付け根のしこりの有無を確認します。
治療:
保存療法: 多くは自然に治癒することが期待されるため、特別な治療をせずに経過観察することがあります。ストレッチや装具療法(副木をあてるなど)が行われることもあります。
手術療法: 1歳を過ぎても改善しない場合や、症状が強い場合には、腱鞘を切開して腱の通り道を広げる手術(腱鞘切開術)が行われることがあります。手術は比較的簡単で、良好な結果が得られることが多いとされています。
エビデンス:先天性強剛母指の自然経過
先天性強剛母指(小児のばね指)は、長母指屈筋腱の結節(Notta結節)により母指IP関節が屈曲位に固定される病態で、一部は自然に軽快すると自然史研究で報告されています。(Hutchinson DT ら. J Hand Surg Am. 2021)[1]。
エビデンス:手術 vs 保存療法
小児のばね指(強剛母指)に対する手術(A1腱鞘切開)と保存療法の成績が比較されています。(Kim K ら. Medicine (Baltimore). 2022)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- Hutchinson DT, Rane AA, Montanez A. The Natural History of Pediatric Trigger Thumb in the United States. J Hand Surg Am. 2021;46(5):424.e1-424.e7. PMID: 33436280.
- Kim K, Moon YK, Lee HY. Operative versus conservative treatment of trigger thumb in children. Medicine (Baltimore). 2022;101(46):e31957. PMID: 36401447.