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整形外科 外科 リハビリテーション科

胸骨・胸鎖関節・胸肋部の痛み 肋軟骨炎・Tietze症候群・胸骨筋症候群・胸鎖関節疾患・SAPHO症候群・胸骨骨折・剣状突起痛 など

突然の強い胸痛、胸を締め付けるような痛み、息苦しさ、冷や汗、失神、強い吐き気、顎・腕・背中へ広がる痛みなどがある場合は、整形外科疾患と自分で判断せず、まずは専門診療科や救急医療機関での評価が必要です。

要約

前胸部の痛みは、肋軟骨や関節、筋肉などから生じることも多い一方、急性冠症候群、肺塞栓、大動脈疾患など生命に関わる病気と症状が重なることがあります。

押して痛みが再現されることや、深呼吸・咳・腕の動きで痛みが変化することは胸壁由来を示唆しますが、それだけで心臓や肺の病気を完全には否定できません。

痛む位置、腫れ・発赤・発熱の有無、外傷歴、皮膚症状、夜間痛などを確認し、疑われる原因に応じて心電図、血液検査、レントゲン、CT、MRI、超音波などを選択します。

1. 前胸部の構造

前胸部には、次のような骨、関節、筋肉、神経があります。

構造説明
胸骨胸の中央にある骨で、胸骨柄、胸骨体、剣状突起から構成されます。
胸骨柄体関節胸骨柄と胸骨体の境界にある、動きの少ない線維軟骨性の関節です。
胸鎖関節鎖骨の内側端と胸骨柄をつなぎ、上肢と体幹を連結する関節です。
胸肋関節胸骨と肋軟骨をつなぐ部分です。肋骨と肋軟骨の境界は肋軟骨接合部と呼びます。
胸壁の筋肉大胸筋、肋間筋、前鋸筋などの胸壁筋と、まれにみられる胸骨筋(sternalis muscle)があります。
神経頸椎、胸椎、肋間神経などから前胸部へ関連痛が生じることがあります。

2. 胸肋部・肋軟骨が原因の痛み

2-1. 肋軟骨炎・胸肋部痛(Costochondritis/Costosternal pain syndrome)

胸骨と肋軟骨の接合部を中心に、痛みや圧痛を生じる比較的よくみられる胸壁痛です。明確な組織炎症が常に証明されるわけではなく、一般には、腫れを伴わない胸肋部の限局性疼痛を表す臨床診断として扱われます。

主な症状・所見

  • 第2〜5肋軟骨付近を中心とする胸骨傍の痛みや圧痛
  • 深呼吸、咳、くしゃみ、寝返り、体幹のひねりなどで増悪
  • 腕の挙上や水平内転で痛みが誘発されることがある
  • 圧迫によって普段と同じ痛みが再現される
  • 複数の胸肋部に圧痛を認めることがある
  • 通常は明らかな発赤、熱感、腫脹を伴わない

検査
典型例では問診と身体診察を中心に診断します。レントゲン、心電図、血液検査、CT、MRIなどは、症状や危険因子に応じて、心肺疾患、骨折、感染、炎症性疾患、腫瘍などを除外するために行います。

治療

  • 痛みを誘発する運動や作業の一時的な調整
  • アセトアミノフェン、外用NSAIDs、内服NSAIDsなどによる疼痛管理
  • 胸郭、胸椎、肩甲帯の可動性訓練やストレッチ
  • 姿勢や作業環境の見直し

症状が遷延・増悪する場合は、感染、疲労骨折、SAPHO症候群、腫瘍などが隠れていないか再評価します。

エビデンス:肋軟骨炎の診断と治療

肋軟骨炎は非外傷性胸壁痛の代表的な原因であり、典型的には問診と身体診察による臨床診断で、画像検査は他疾患の除外目的で選択的に行うことが推奨されています(Mott T ら. Am Fam Physician. 2021)[3]

2-2. Tietze症候群

Tietze症候群は、上位の肋軟骨接合部に、限局した痛みと明らかな腫脹を生じる比較的まれな病態です。肋軟骨炎との最も重要な違いは、痛む部位に腫れを伴うことです。

主な特徴

  • 第2〜3肋軟骨付近に生じることが多い
  • 通常は片側の一か所に限局する
  • 圧痛に加えて、目で見たり触れたりできる腫脹を伴う
  • 深呼吸、咳、体幹運動で痛みが増悪する
  • 通常は高熱や強い全身症状を伴わない

検査
診断は、感染症、腫瘍、SAPHO症候群などを除外したうえで行います。典型例ではレントゲンが正常なことがあります。腫脹が強い、症状が長引く、発赤・発熱があるなど非典型的な場合は、超音波、CT、MRIを検討します。

治療
活動量の調整と鎮痛薬を中心に治療します。難治例では局所注射が検討されます。短期間の経口ステロイドについては小規模な無作為化比較試験で短期的な疼痛・生活の質の改善が報告されていますが、標準治療として確立しているわけではありません。

エビデンス:Tietze症候群に対する短期経口ステロイド

Tietze症候群に対する短期間の経口コルチコステロイドについて、小規模な無作為化比較試験で疼痛・QOLの短期的改善が報告されていますが、標準治療として確立したものではありません(Elsayed HH ら. J Clin Pharm Ther. 2022)[4]

2-3. 筋・筋膜性疼痛と胸骨筋症候群

胸骨筋、大胸筋、肋間筋、前鋸筋などの過緊張や微小損傷でも、胸骨周囲に痛みが生じます。運動、咳、重量物の持ち上げ、長時間の同一姿勢などをきっかけに発症し、筋肉の圧迫、収縮、ストレッチで痛みが再現されやすいことが特徴です。

検査・治療
発熱、腫脹、骨性圧痛、外傷歴、夜間痛、悪性腫瘍の既往などがなければ、画像検査を必要としないこともあります。治療は活動調整、鎮痛薬、姿勢調整、胸郭・肩甲帯の運動などが中心です。

3. 胸鎖関節が原因の痛み

胸鎖関節は鎖骨の内側端と胸骨柄をつなぐ関節で、上肢と体幹を連結します。すぐ後方には気管、食道、大血管などがあるため、外傷や感染では慎重な評価が必要です。

3-1. 胸鎖関節捻挫・亜脱臼・脱臼

交通事故、転倒、コンタクトスポーツなどで肩や前胸部に強い外力が加わると、胸鎖関節の靱帯損傷、亜脱臼、脱臼が起こることがあります。

前方脱臼
鎖骨の内側端が前方へ突出し、胸鎖関節部に膨らみや変形がみられます。慢性化しても機能障害が軽い場合は、保存的に経過をみることがあります。

後方脱臼
鎖骨の内側端が胸郭内へ転位する危険な外傷です。胸鎖関節部の陥凹に加え、呼吸困難、嚥下困難、嗄声、上肢のしびれ・冷感・血流障害などを伴うことがあります。

後方脱臼では気管、食道、大血管などを損傷する可能性があるため、緊急の評価が必要です。

いずれも単純レントゲンでは診断が難しく、脱臼方向と縦隔内構造との位置関係を確認するためにCTが重要です。治療は損傷方向、受傷時期、神経血管症状の有無などに応じて、固定、整復、手術を選択します。

若年者の鎖骨内側骨端線損傷
小児、思春期、若年成人では、胸鎖関節脱臼に見えても、実際には鎖骨内側端の成長軟骨を通る骨端線損傷であることがあります。後方へ転位した場合は、胸鎖関節後方脱臼と同様に、気管、食道、大血管などを圧迫・損傷する可能性があります。単純レントゲンでは分かりにくいことがあり、疑われる場合はCTなどによる早急な評価が必要です。

エビデンス:外傷性胸鎖関節後方脱臼の管理

外傷性の胸鎖関節後方脱臼は、単純レントゲンでは診断が困難なことが多く、CTによる評価と、神経血管症状の有無に応じた慎重な整復・手術判断が重要とされています(Ingoe HMA ら. Injury. 2023)[9]

3-2. 胸鎖関節変形性関節症

加齢に伴い、胸鎖関節にも軟骨の摩耗、骨棘、骨硬化などの変性が生じます。CTでは高齢になるほど変形所見がよくみられますが、画像上の変形があっても無症状のことが少なくありません。

主な症状

  • 胸鎖関節部の鈍い痛みや圧痛
  • 腕の挙上、水平内転、寝返りなどで痛む
  • 硬い骨性の膨らみを触れることがある

治療
活動調整、鎮痛薬、外用薬、理学療法などの保存療法が基本です。

3-3. 炎症性関節炎

体軸性脊椎関節炎、乾癬性関節炎、関節リウマチなどにより、胸鎖関節や胸肋部、胸骨柄体関節に炎症が生じることがあります。またまれに、尿酸結晶による痛風や、ピロリン酸カルシウム結晶によるCPPD結晶沈着症が胸鎖関節に生じることもあります。

診断の手がかり

  • 安静時痛、夜間痛、朝のこわばり
  • 胸鎖関節部の腫れ
  • 若年から続く腰痛、仙腸関節痛
  • 手足などほかの関節の腫れ
  • 乾癬、指趾炎、ぶどう膜炎、炎症性腸疾患

検査・治療
病状に応じて、CRP、血沈、リウマトイド因子、抗CCP抗体、HLA-B27などを選択し、超音波、CT、MRIを組み合わせます。血液検査は症状に応じて行うもので、胸骨痛の患者さん全員に一律に必要な検査ではありません。治療は胸鎖関節だけではなく、背景にある炎症性疾患全体に対して行います。

3-4. SAPHO症候群・掌蹠膿疱症性骨関節炎

SAPHO症候群は、無菌性骨炎や骨過形成と、掌蹠膿疱症、重症ざ瘡などの皮膚症状を組み合わせて生じる炎症性疾患群です。前胸壁、特に胸鎖関節、第一肋骨、胸骨柄周囲は代表的な病変部位です。

主な症状

  • 胸鎖関節から胸骨周囲の慢性的な痛みや骨性腫脹
  • 症状が再燃と軽快を繰り返す
  • 手のひらや足の裏の膿疱
  • 重症のにきびやほかの皮膚症状
  • 脊椎やほかの関節の痛み

皮膚症状と骨関節症状は同時に現れないことがあり、皮膚症状が目立たない場合もあります。

検査
CTでは骨硬化、骨皮質肥厚、骨びらん、骨過形成などを、MRIでは骨髄浮腫や活動性炎症を評価します。骨シンチグラフィーで胸骨柄と両側胸鎖関節に牛の頭のような集積を認めるbull's head signは診断を示唆しますが、すべての患者さんに認められるわけではありません。

治療
NSAIDsが初期治療として用いられます。難治例ではビスホスホネート、従来型抗リウマチ薬、生物学的製剤、分子標的薬などが検討されます。

エビデンス:SAPHO症候群の治療

SAPHO症候群の治療は、まずNSAIDsを中心とし、難治例ではビスホスホネートや生物学的製剤などが選択肢となることが、システマティックレビューでまとめられています(Li SWS ら. RMD Open. 2023)[12]

3-5. 化膿性胸鎖関節炎・胸骨骨髄炎

胸鎖関節感染はまれですが、進行すると鎖骨や胸骨の骨髄炎、胸壁膿瘍、縦隔炎を起こす可能性があります。糖尿病、透析、免疫抑制、長期ステロイド使用、血流感染、中心静脈カテーテルなどが危険因子ですが、明らかな危険因子がない人にも起こります。

疑う症状

  • 急速に悪化する強い局所痛
  • 発赤、腫脹、熱感
  • 安静時や夜間も持続する強い痛み
  • 膿瘍や皮膚の変化

検査・治療
血算、CRP、血液培養、CT、MRIなどを行い、可能であれば関節液や膿を採取して原因菌を調べます。治療には抗菌薬が必要です。膿瘍、骨破壊、縦隔への感染拡大を認める場合は、洗浄、ドレナージ、病変部切除などの手術が必要になることがあります。

エビデンス:化膿性胸鎖関節炎

化膿性胸鎖関節炎は180例の系統的レビューにおいて、糖尿病や静注薬物使用、遠隔部感染巣などを背景に生じやすく、抗菌薬治療に加えて膿瘍形成例では外科的ドレナージが必要になることが報告されています(Ross JJ ら. Medicine (Baltimore). 2004)[13]

4. 胸骨そのものが原因の痛み

4-1. 胸骨骨折

胸骨骨折は、交通事故、転倒、スポーツ外傷などで前胸部に強い力が加わった場合に起こります。高齢者では骨粗鬆症や胸椎後弯を背景に、軽微な外力でも脆弱性骨折を生じることがあります。

主な症状

  • 胸骨上の限局した強い圧痛
  • 深呼吸や咳で悪化する痛み
  • 腫れや皮下出血
  • 体動時痛や変形

検査・治療
単純レントゲンで分かりにくい場合があり、受傷機転や症状に応じてCTを行います。CTは骨折だけでなく、肺、肋骨、縦隔などの合併損傷の評価にも有用です。転位が少なく、ほかの胸部損傷を伴わない安定した胸骨骨折は、十分な鎮痛と呼吸管理を中心に保存的に治療できることが多いとされています。著しい転位、不安定性、遷延する疼痛、偽関節などでは手術が検討されます。

エビデンス:外傷性胸骨骨折の治療方針

転位が少なく他の胸部損傷を伴わない胸骨骨折は、鎮痛と呼吸管理を中心とした保存的治療で良好な経過をたどることが多いと、外傷性胸骨骨折に関するレビューでまとめられています(Doyle JE ら. Mediastinum. 2021)[16]

4-2. 胸骨疲労骨折

ウェイトトレーニング、体操、ボート競技、投球競技など、上半身へ反復負荷が加わる活動では、まれに胸骨疲労骨折を生じます。徐々に増悪する局所痛と骨性圧痛が手がかりになります。レントゲンで異常が分かりにくい場合はMRIやCTで評価し、原因となった負荷を中止・調整して、症状と画像所見をみながら段階的に復帰します。

4-3. 剣状突起痛・剣状突起症候群

胸骨最下端の剣状突起や胸骨剣結合部に由来する痛みで、剣状突起を押したときに普段と同じ症状が再現されることが診断の手がかりです。

胸部・みぞおちの痛みには心臓、消化管、胆道などの病気も含まれるため、これらを除外して診断します。まず活動調整、鎮痛薬などで治療します。

4-4. 胸骨・鎖骨周囲の腫瘍

胸骨や鎖骨内側端には、原発性骨腫瘍や他臓器からの骨転移が生じることがあります。以下の症状が重要です。

  • 強くなる痛み
  • 安静時痛や夜間痛
  • 次第に大きくなる硬い腫瘤
  • 原因不明の体重減少
  • 悪性腫瘍の既往

診断にはレントゲン、CT、MRIなどを用い、確定診断には生検が必要になることがあります。治療は腫瘍の種類や原発部位に応じて行います。

5. 診察と検査

問診

  • 痛みが始まった時期と発症の仕方
  • 外傷、運動、咳、重量物の持ち上げとの関係
  • 深呼吸、体幹運動、腕の運動との関係
  • 安静時痛、夜間痛、症状の進行
  • 悪性腫瘍、糖尿病、透析、免疫抑制、骨粗鬆症などの既往
  • 頸部痛、腕のしびれ、ほかの関節症状
  • 息切れ、冷汗、吐き気、失神、放散痛

身体診察

胸骨周囲の圧痛、腫脹、発赤、熱感、変形を確認します。肩、頸椎、胸椎、胸郭の動きによって症状が再現されるかも評価します。症状の性質や患者さんの危険因子によっては、心音、呼吸音、脈拍、血圧、酸素飽和度などの確認を優先します。

心電図・心筋トロポニンなど

急性冠症候群などが疑われる場合は、胸壁の圧痛があっても、心電図や心筋トロポニンを含む心血管評価を優先します。圧痛で痛みが再現されることは筋骨格系胸痛を示唆しますが、単独で心疾患を除外できる所見ではありません。

画像検査

検査主な役割
レントゲン非外傷性胸壁痛の初期画像として用いられ、骨折、変形性関節症、大きな骨病変、肺疾患などを確認します。ただし、胸鎖関節や胸骨はほかの骨と重なり、異常が分かりにくいことがあります。
超音波表在部の腫れ、関節液、滑膜炎、膿瘍、筋・軟部組織病変の評価や、注射・穿刺のガイドとして用います。
CT胸鎖関節脱臼、胸骨骨折、骨破壊、骨硬化、骨過形成など、骨と胸郭内部の位置関係の評価に適しています。造影の要否は感染、腫瘍、血管損傷などの疑いに応じて判断します。
MRI骨髄浮腫、骨髄炎、滑膜炎などの評価に適しています。一方、無症状者にも炎症に似た所見がみられる部位があり、画像所見は臨床症状と合わせて解釈します。

血液検査・培養・生検

発熱や腫脹がある場合は、白血球数、CRP、血沈などを確認します。炎症性関節疾患が疑われる場合は、症状に応じてリウマトイド因子、抗CCP抗体、HLA-B27などを選択します。感染が疑われる場合は血液培養や病変部培養が重要です。腫瘍が疑われる場合は、画像検査に加えて生検が必要になることがあります。

6. 治療

機械的・筋骨格系の痛み

痛みを誘発する負荷を一時的に調整し、鎮痛薬、外用薬、温冷罨法、症状に応じた運動療法を組み合わせます。長期間の過度な安静や、痛みを我慢して行う強いストレッチは避けます。

炎症性関節疾患

体軸性脊椎関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、SAPHO症候群などでは、局所だけではなく全身の病勢を評価し、リウマチ・膠原病領域の治療を行います。

感染症

抗菌薬治療を速やかに開始し、膿瘍、骨髄炎、縦隔への進展がある場合はドレナージや手術を検討します。

外傷・腫瘍

後方胸鎖関節脱臼や合併損傷を伴う胸骨骨折は緊急性があります。腫瘍が疑われる場合は、画像と生検に基づき専門診療へつなげます。

7. 主な疾患の比較一覧

疾患腫れ・変形主な特徴
肋軟骨炎・胸肋部痛通常なし胸骨傍の圧痛。深呼吸、咳、体動で増悪。特異的画像所見はない。
Tietze症候群限局した腫脹あり上位肋軟骨の単発性の痛みと腫れ。感染・腫瘍・SAPHOを除外する。
筋・筋膜性疼痛/胸骨筋症候群通常なし筋の圧迫、収縮、ストレッチで再現。胸骨筋の画像所見だけでは原因と断定できない。
胸鎖関節変形性関節症骨性膨隆のことあり腕の使用時痛。CT上の変形は無症状者にも多い。
胸鎖関節後方脱臼陥凹・変形外傷後。呼吸・嚥下・神経血管症状に注意し、CTで緊急評価する。
炎症性関節炎腫脹のことあり夜間痛、朝のこわばり、腰痛、乾癬、ほかの関節炎などを伴う。
SAPHO症候群骨性腫脹慢性再燃性。掌蹠膿疱症やざ瘡を伴うことがある。CT、MRI、骨シンチを組み合わせる。
化膿性胸鎖関節炎発赤・腫脹・熱感発熱、強い安静時痛。培養、CT/MRIを行い、抗菌薬と必要に応じ手術。
胸骨骨折・疲労骨折腫れることあり骨性圧痛。外傷ではCT、疲労骨折ではMRI/CTが有用。
腫瘍性病変硬い腫瘤のことあり進行性疼痛、夜間痛、体重減少、悪性腫瘍の既往。生検が必要なことがある。

8. 早めの受診・救急受診が必要な症状

次の症状がある場合は、一般的な肋軟骨炎や筋肉痛と自分で判断せず、早急に専門診療科もしくは救急医療機関への受診が必要です。

■ 心臓・血管の病気を疑う症状

  • 突然発症した強い胸痛または背部痛
  • 胸を締め付ける、圧迫されるような痛み
  • 呼吸困難、冷や汗、失神、強い吐き気
  • 顎、腕、肩、背中へ広がる持続的な痛み

■ 外傷に関連する症状

  • 大きな外傷後の胸痛
  • 胸鎖関節部の陥凹と、呼吸・嚥下・上肢血流の異常

■ 感染・腫瘍を疑う症状

  • 発熱を伴う発赤、腫脹、熱感
  • 急速に大きくなる腫瘤
  • 安静時痛や夜間痛が次第に悪化する
  • 原因不明の体重減少を伴う痛み

9. まとめ

胸骨、胸鎖関節、胸肋部の痛みには、肋軟骨炎や筋・筋膜性疼痛のように保存的治療で改善が期待できる病態から、胸鎖関節後方脱臼、感染、腫瘍など緊急または専門的な治療を要する病気まで、さまざまな原因があります。

また圧迫や体動で痛みが再現されることは胸壁由来を示唆しますが、それだけで心臓、肺、大動脈などの病気を完全には除外できません。

まずは循環器内科などで急性冠症候群などの心血管系の危険疾患を適切に除外する必要があります。
エビデンス出典(全18件)を見る
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