2026年9月15日掲載
整形外科Q&A|知っておきたい足関節捻挫 第1回/全3回捻挫かどうかは検査で確認します
足関節の捻挫は、見た目や痛みの強さだけでは重症度を判断できません。湿布を貼って様子を見るうちに、実は骨折していた、ということも珍しくないためです。
当院では、足首を捻った方にはまず診察で腫れや圧痛の部位を確認し、そのうえでレントゲンによって骨折の有無を調べます。捻挫と骨折は症状が似ており、診察だけでの判別は困難な場合があるためです。あわせて超音波検査を行い、靱帯の状態を直接確認します。じっとした状態を撮るレントゲンとは違い、超音波は関節を実際に動かしながら、その場で画面越しに靱帯の様子を見ることができます。腫れの程度や、靱帯が伸びているだけなのか、断裂しているのかがその場で分かるだけでなく、治療の経過を追って靱帯が治ってきているかどうかを、通院のたびに確認することもできます。
「たかが捻挫」と自己判断せず、検査を受けていただくことが、正しい治療の第一歩です。
2026年9月16日掲載
整形外科Q&A|知っておきたい足関節捻挫 第2回/全3回見逃されやすい捻挫
「捻挫のはずなのに、なかなか良くならない」という場合、実は違うけがが隠れていることがあります。
一つは、踵骨前方突起骨折です。かかとの骨の一部が、捻った際の力で剥離骨折を起こすもので、発症のしかたや腫れる場所が通常の捻挫とよく似ているため、見逃されやすいことが知られています。診断が遅れて陳旧例になってから見つかることも少なくありません。
もう一つは、脛腓靱帯損傷です。すねの骨とくるぶしの外側の骨をつなぐ靱帯の損傷で、俗にハイアンクルスプレインとも呼ばれます。通常の捻挫が足の外側に痛みが出るのに対し、こちらは足関節の前面に痛みが出るのが特徴です。ある報告では、通常の外側靱帯損傷が治るまで平均21日であったのに対し、脛腓靱帯損傷では平均85日を要したとされ、回復にかかる期間が大きく異なります。診断が遅れると、足関節の不安定性や関節の変形が長引く原因にもなります。
どちらも見た目は「よくある捻挫」ですが、痛みの場所や治り方が通常と違う場合には、これらを念頭に置いた診察が必要です。当院では、レントゲンと超音波検査に加え、痛みの部位を丁寧に確認することで、こうした見逃されやすいけがも見逃さないよう努めています。
2026年9月17日掲載
整形外科Q&A|知っておきたい足関節捻挫 第3回/全3回重症度で治療が変わる
足関節捻挫は、靱帯の傷み具合によって3つの重さに分けられます。同じ「捻挫」でも、この重さによって治療の進め方が変わります。
軽いもの(グレードⅠ)は、靱帯が伸びた程度で、歩くこともできます。腫れや痛みは軽く、早ければ数日で日常生活に戻れます。「伸びる」といっても、靱帯そのものがゴムのように伸縮するわけではありません。靱帯は細い線維の束でできており、この線維の一部にごく小さな傷がつき、束全体としての張りがわずかに緩んだ状態を指します。線維のつながりそのものは保たれています。
中等度(グレードⅡ)は、靱帯が部分的に切れた状態です。歩けても走るのは難しく、腫れの範囲も広くなります。この段階では、運動療法を中心に、必要に応じて取り外しのできる固定具を使います。
重いもの(グレードⅢ)は、靱帯が完全に切れた状態です。強い腫れと痛みがあり、関節がぐらつく不安定感を伴います。固定と松葉杖での免荷が必要になりますが、この重さであっても手術ではなく、まずは保存的な治療で経過をみるのが基本です。
どの重さであっても、固定は疼痛をやわらげるためのものであって、長く固定すればするほど早く治るわけではありません。腫れが落ち着いた段階からは、関節を動かし、支える筋力を取り戻していくことが、その後の回復を左右します。
全3回にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。足首を捻った際は自己判断せず、早めにご相談ください。