問題は「アロエ」そのものではなく、生の葉を直接使うこと
アロエの効能はさておき、植わった葉には菌がいっぱい付いています。少々洗っても落ちませんので、これを傷に貼ったりするとばい菌が入って蜂窩織炎などの感染症を起こします。
アロエ自体の評価と、生の葉を使うことの違い
誤解のないように整理しておくと、精製・処理されたアロエベラ製剤(医療用ジェルなど)そのものについては、火傷の治療効果を検証した研究がいくつも存在します。ただし、これらの研究を統合したコクラン・レビューでは、対象となった臨床試験の質が低く、アロエベラ製剤が創傷治癒に有効であると結論づけるだけの質の高いエビデンスは現時点で不足している、とされています(Dat AD, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012)。つまり「効くとも効かないとも言い切れない」というのが、精製された製剤についての現在地です。
一方、鉢植えなどから直接ちぎった生の葉をそのまま傷に当てる行為は、これとは別の問題です。葉の表面には土壌由来の細菌が付着しており、家庭で軽く洗った程度では落としきれません。中国で子供の熱傷患者を対象に行われた調査では、民間療法(家庭療法)による熱傷治療が今なお約20%の症例で行われており、その結果、創部の悪化や重金属中毒など重篤な合併症に至った症例が報告されています(Niu B, et al. Front Pediatr. 2025;13:1531744)。植物の生葉に限らず、正体の分からないものを傷口に直接貼るという行為そのものに、感染や中毒のリスクがあることを示す一例です。
火傷やケガはまず水道水で洗い流す
火傷やケガはまず水道水などで良く洗浄してください。傷の中や周辺の雑菌を良く洗い流してから治療すると効果的です。
火傷の冷却時間、今の目安は20分
火傷の冷却時間については、以前は10〜15分程度が目安とされることもありましたが、近年の国際的なガイドラインでは、受傷後3時間以内に開始し、20分間の流水での冷却を行うことが推奨されています。蘇生・応急処置に関する国際的な合議組織(ILCOR)が行った系統的レビューでは、この20分間の流水冷却を行った患者は、皮膚移植など外科的処置が必要になる割合が有意に低かったと報告されています(Djärv T, et al. Burns. 2022;48(2):251-262)。冷やしすぎによる低体温には注意しつつ、水道水でしっかり洗い流しながら冷やす、という基本は変わりません。