池田医院
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整形外科 外科 リハビリテーション

膝が痛くなったので治そうと歩き始めると、悪化することがある

痛みが出るとなんとかしないといけないと思うのは人の常です。膝が痛くなれば、これまたなんとかしようと散歩を開始する人がよくおられます。散歩は万病に効きます。特に高血圧や高脂血症、肥満など生活習慣病に関わる疾患があれば、内科で必ず歩くように指導されます。しかしながら膝の痛い人が、治そうと歩き出すと大抵症状が悪化します。特に高齢になって変形性膝関節症があると、膝の軟骨がすり減って炎症を起こしていますから歩くほどに痛みが強くなります。

まずは筋肉を鍛えて膝を安定させる

散歩などの運動負荷を掛ける前に、まずは膝周りの筋肉を鍛えて膝を安定させるようにしてください。これも体重負荷の掛からない運動を行います。そして筋力が増強して膝が安定してくれば、痛みも良くなってきますし、散歩も可能となります。

ガイドラインでは「順番」はどう位置づけられているか

膝OAの治療ガイドラインとして国際的によく参照される米国リウマチ学会・関節炎財団(ACR/AF)の2019年版ガイドラインでは、ウォーキングを含む有酸素運動・筋力トレーニング・神経筋トレーニング・水中運動などがいずれも推奨されており、どれか一つを優先すべきという明確な序列は設けられていません(Kolasinski SL, et al. Arthritis Care Res. 2020;72(2):149-162)。つまり「筋トレの後でなければ歩いてはいけない」というのが確立した公式ルールというわけではありません。

ただし、これは「痛みが強く、膝が不安定な状態でも構わず歩いてよい」という意味ではありません。膝関節にかかる負荷は、周囲の筋肉(特に大腿四頭筋)がどれだけしっかり関節を支えられるかによって変わります。筋力が不十分なまま歩行という繰り返し荷重を加えると、不安定な関節に負担が集中し、炎症や痛みが悪化しやすくなります。実際に、体重をかけない筋力トレーニングだけを行った群と何もしなかった群を比較した研究では、筋力トレーニングを行った群で痛みと機能の改善が確認されており、痛みが強い急性の悪化期にはまず非荷重の筋力訓練から始め、症状が落ち着くのに合わせて歩行などの荷重運動を段階的に増やしていく、という進め方は、臨床的に理にかなったアプローチとして支持されています。

この順番を間違うといつまで経っても痛みが出ますし、また関節内に水がたまってしまいます。

参考文献一覧を見る(全1件)
  1. Kolasinski SL, Neogi T, Hochberg MC, et al. 2019 American College of Rheumatology/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee. Arthritis Care Res (Hoboken). 2020;72(2):149-162.