池田医院
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整形外科 外科 リハビリテーション

骨折に湿布を貼るとかぶれて手術が延期になることがある

小さい頃から湿布は魔法の薬のように何かケガをしたら貼って育った人が多いかと思います。それゆえに骨折しても貼ってしまいます。湿布は時としてかぶれます。

湿布のかぶれは、実は珍しくない

湿布に含まれる消炎鎮痛成分(多くはケトプロフェンなどのNSAID)は、皮膚のかぶれ(接触皮膚炎)を起こすことがあります。中でもケトプロフェンは、貼った部分に日光が当たることで数週間〜数か月後にかぶれが出る「光線過敏性皮膚炎」を起こしやすいことで知られています。

湿布によるかぶれ、どのくらい起こるのか

ヨーロッパ3地域(パリ、イタリア・ロンバルディア州、プラハ)で行われた調査では、ケトプロフェン外用薬を使用していた人のうち、入院を要するほどの重い光線過敏性皮膚炎を起こした割合は、一般人口10万人年あたり0.048例程度と、頻度としては高くありません。しかし、この重い光線過敏症全体のうち、約12%はケトプロフェン外用薬の使用が原因と推定されており、軽症のかぶれまで含めれば、日常的にしばしば経験される副作用です(Cazzaniga S, et al. Pharmacol Res Perspect. 2016;4(3):e00225)。かぶれは湿布を剥がした後、数日〜数週間して日光に当たってから出ることもあり、「湿布を貼っていた時は何ともなかったから大丈夫」とは言い切れない点も注意が必要です。

かぶれた皮膚では、骨折の手術ができない

このかぶれがくせ者で、皮膚がかぶれることによって細菌が増殖します。こうなると骨折の手術は出来ません。かぶれが治るまで延期となれば適正な時期を逃してしまうこともあります。

手術のタイミングと皮膚の状態の関係

骨折の手術(プレートやスクリューによる内固定)は、皮膚や軟部組織の状態が良くない状態で行うと、術後に手術部位感染を起こすリスクが高まることが知られています。実際、脛骨の複雑な骨折(脛骨天蓋骨折)を対象とした研究では、皮膚の腫れや状態が良くない場合は、いったん創外固定で骨を安定させておき、腫れや皮膚の状態が改善する7〜21日後まで待ってから本格的な内固定手術(プレート固定)に進む、という二段階の方針が採用されていました(Shrivastava N, et al. Cureus. 2024;16(11):e74867)。骨折そのものだけでなく、周囲の皮膚の状態が手術のタイミングを左右する重要な要素であることは、湿布によるかぶれに限らず、整形外科手術全般に共通する原則です。

しっかりと診断が付くまでは湿布は貼らないようにした方が良いです。

参考文献一覧を見る(全2件)
  1. Cazzaniga S, Naldi L, Lecchi S, et al. A pilot study on the incidence of severe photosensitivity reactions leading to hospitalization linked to topical ketoprofen and other medications in selected European regions. Pharmacol Res Perspect. 2016;4(3):e00225.
  2. Shrivastava N, Mannan M, Hamid MA, Akbar R, Prabhu RM. Functional Outcomes of Pilon Fractures Treated by External Fixation, Delayed Plating, and Open Reduction and Internal Fixation (ORIF): A Prospective Cohort Study. Cureus. 2024;16(11):e74867.