創傷治療の要は、通気性と水分量のコントロール
創傷治療の要は、通気性と水分量のコントロールに掛かっています。ラップは創からの浸出液を吸収する能力はありませんので、浸出液が多い状態では感染やかぶれを引き起こしやすくなります。
また汚染された創では、十分な洗浄を行い、ある程度通気性を保った方が感染予防になると考えます。ラップの適応は浅い擦過傷で汚染されていないもののみ有効でしょう。汚染創や浸出液の多いものは,医療機関できちんと治療をするようにしてください。
火傷への使用は、特に注意が必要
日本熱傷学会は、熱傷(火傷)の創に食品用ラップを使うことについて、医療用として認可された創傷被覆材を使わず非医療材料を用いることは厳しく制限すべきとする見解を公表しています。熱傷治療に精通していない状態で自己判断により食品用ラップを使い、未熟な管理を行った結果、感染症を生じた例や、乳幼児で重篤な全身性の敗血症により死亡した例が報告されており、同学会は火傷への食品用ラップの使用を「決して用いてはならない」としています。実際に、火傷を負った乳幼児の上半身に食品用ラップを巻いたまま放置し、保護責任者遺棄の疑いで逮捕に至った事例が国会でも取り上げられています。
一方、褥瘡(床ずれ)を対象とした日本褥瘡学会のガイドラインでは、医療用として認可された創傷被覆材の使用が望ましいとしつつも、それが継続的に使えない療養環境では、褥瘡治療について十分な知識と経験を持つ医師の責任のもと、患者・家族に十分説明し同意を得た上で、食品用ラップなどの非医療材料を用いることを考慮してもよい、とやや条件付きで許容する見解を示しています。このように、同じ「ラップ療法」でも、対象が火傷か褥瘡か、また医師の管理下にあるかどうかによって、学会の評価は大きく異なります。自己判断で火傷や汚染創にラップを使うことは避け、医療機関の管理下で行うべき処置と理解しておくのが安全です。
同様にハイドロコロイドによる治療も、浅くて浸出液の少ない汚染されていない創に使うようにしてください。