足の裏は、体の中でもっとも薬が浸透しにくい場所
よく皮膚の炎症や湿疹で使われるハイドロコルチゾン(ステロイド、基材はワセリン)を例にすると、前腕屈曲側を100%とした場合の吸収率は、前腕伸側で110%、胸腰背部で170%、手掌83%、足関節42%、足底14%と報告されています。
なぜこれほど部位によって差が出るのか
この数値は、1967年にFeldmannとMaibachが行った、体の各部位に放射性標識したハイドロコルチゾンを塗布し、尿中への排泄量から吸収率を比較した研究に基づくもので、皮膚科学・薬理学の分野で今も繰り返し引用される基礎データです(Feldmann RJ, Maibach HI. J Invest Dermatol. 1967;48(2):181-183)。2020年に発表された経皮吸収に関する系統的なレビューでも、この研究以降に蓄積された知見と合わせて、部位による吸収率の違いが臨床上重要な要因の一つとして改めて整理されています(Law RM, et al. Skin Pharmacol Physiol. 2020;33(2):115-122)。
この違いを生む一番の要因は、皮膚の一番外側にある角質層(角化した上皮)の厚さです。足底の角質層は体の中でもっとも厚く、これが薬剤の浸透を妨げるバリアとして働きます。加えて、汗腺の分布や皮膚の血流量、皮膚温といった要素も吸収率に影響することが知られています。足の裏は日常的に体重を支え続ける部位であるため、他の部位に比べて血流のパターンも異なり、これらが複合的に作用して、湿布や外用薬の効果が現れにくい部位になっていると考えられます。
足の裏に非感染性の痛みがあるときは、まずは内服薬を選択するとよいといえます。