池田医院
信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして
整形外科 外科 リハビリテーション

レントゲンで「骨は大丈夫」と言われても骨折していることがある

レントゲンはその特性上、骨折部に隙間がないと骨折として描出できませんので、レントゲンで所見が無くとも折れていることもあります。レントゲン撮影は万能ではありません。昔はレントゲン撮影を行って「大丈夫」なんていう治療が多かったのですが、いささか時代遅れとなっています。

肋骨骨折を例に見る、レントゲンの限界

肋骨骨折はレントゲンでかなりの率が見逃されることが分かっています。逆に超音波の方がレントゲンより鋭敏に骨折を見つけられることも多く、CTで分からなくとも超音波で分かるケースもあります。

実際にどのくらいの差があるのか

CTを基準にレントゲンと超音波を同一患者で直接比較した研究では、レントゲンの感度が40%だったのに対し、超音波の感度は100%だったと報告されています。個々の肋骨骨折を見つける正答率で見ても、超音波94.9%に対しレントゲンは35.4%にとどまりました(Vassalou EE, et al. Skeletal Radiol. 2024;53(11):2367-2376)。また、複数の研究を統合したメタ解析でも、CTを基準とした超音波の感度は89.3%、特異度は98.4%と報告されており、超音波が肋骨骨折の検出においてレントゲンより鋭敏な検査であることは、近年の研究で繰り返し確認されています(Gilbertson J, et al. Ann Emerg Med. 2022;79(6):529-539)。

一番大切なのは画像診断ではなく、臨床所見

経験を積めば、診察だけで骨折している可能性がある程度判断できるようになります。その上でレントゲンなどの補助検査を追加します。とは言え、症状や所見からどちらとも言えないケースもあります。またレントゲンで描出されないが極めて骨折の可能性が高い場合などは、超音波断層、MRI、CTを順次、追加します。

検査は無制限に行うものではない

もちろん何でもかんでも検査すると医療コストが膨大となりますので、必要な症例を選んで行います。この場合の必要とは骨折の有無によって治療方針が著しく変わる場合を意味します。

参考文献一覧を見る(全2件)
  1. Vassalou EE, Perysinakis I, Klontzas ME, de Bree E, Karantanas AH. Performance of thoracic ultrasonography compared with chest radiography for the detection of rib fractures using computed tomography as a reference standard. Skeletal Radiol. 2024;53(11):2367-2376.
  2. Gilbertson J, Pageau P, Ritcey B, Cheng W, Burwash-Brennan T, Perry JJ, Woo MY. Test Characteristics of Chest Ultrasonography for Rib Fractures Following Blunt Chest Trauma: A Systematic Review and Meta-analysis. Ann Emerg Med. 2022;79(6):529-539.