表紙に戻る
池田医院へようこそ
信頼とまごころの医療
からだにやさしい医療をめざして

整形外科 外科
リハビリテーション科

石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎) Calcific tendinitis

よく肩関節周囲炎(五十肩や四十肩)ではないかと受診されます。石灰沈着性腱板炎は多くの場合、急速に痛みが出てより強く痛む傾向があります。ひどいときはまったく肩を動かせないほど痛みます。

40−60歳の女性に多いといわれてます。ぶつけたとか外傷がないのに急速に痛みが出てきた場合は、この病気を疑います。

診断はレントゲン撮影と超音波断層撮影を行います。レントゲンでは石灰化像を、超音波では音響陰影を伴った高エコー(石灰化)を認めます。石灰化は棘上筋腱に蓄積することが多い。

石灰が徐々に貯留し膨らんでくると痛みが増してきます。腱板内から滑液包内へ破れ漏れ出るようになると激痛が生じます。強烈な痛みで寝られず、ピクリとも動かせない感じになります。

治療は痛みに応じて行います。急性期は三角巾で固定するなどして局所の安静をはかり消炎鎮痛剤や注射を行います。通常は一週間ほどで痛みは改善しますが、なかには慢性化して続く人もあります。

石灰化が石のように硬くなって肩を上げるときに引っかかる場合は手術療法が選択されることがあります。
  
本日のコラム195  石灰性腱炎(石灰沈着性腱板炎)

腱板に石灰(リン酸カルシウム)が沈着することにより急性の炎症を起こす病気です。腱板の変性や線維軟骨化生が生じて石灰が沈着すると炎症を起こします。レントゲンやエコーで石灰化像を認めます。

発症は突然で、激痛で肩関節を動かせないことが多く、痛みで寝られないと訴えます。

治療はNSAIDsや局所安静を行います。希望によりコーガイド下に石灰化の吸引、肩峰下滑液包内へ局所麻酔薬やステロイドを注入します。石灰が液状の時は吸引のよい適応となります。

 
石灰の成分はなにか?

成書を読むと、石灰化の説明としてその成分は、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなど、様々な記述があり混乱を招いています。
そこでこの石灰は一体何でてきているのかを調べました。炭酸アパタイトとbasic calcium phosphateからなるとされます。

basic calcium phosphate→訳をすると「基本となる」リン酸カルシウムという意味のハイドロキシアパタイト(hydroxyapatite)であり、訳語としてよく使われる「塩基性」リン酸カルシウム」は誤訳ではないかとのこと。
いずれにせよ、アパタイトの一種であるハイドロキシアパタイトであり、その成分はリン酸カルシウムと言えます。炭酸カルシウムやリン酸カルシウムが腱板に沈着して炎症を起こします。