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整形外科 外科
リハビリテーション科

モートン病 Morton disease

モートン病は、足の前方(前足部)に鋭い痛みやしびれ感が生じる疾患です。ハイヒールなどで趾を背屈する動作を繰り返していると、中足骨頭間を走行する足底神経が機械的に圧迫されて腫瘤(偽腫瘍)を形成し症状が出ます。足の裏が腫れた感じでその部分を指でコンコンと叩くとびりびりと放散する痛みが出ます。(Tinel sign)

この所見は神経が障害された時に再生ポイントで出るサインです。教科書に書いてあるようなコロッとした腫れを触れることはまずありません。触れなくとも、超音波で描出されることがよくあります。

第3趾-第4趾間に多いですが隣接した第2・3間や第4・5間にも生じることがあります。治療は足底板で神経偽腫部分を刺激しないようにします。数ヶ月ほどして改善しない場合は手術を考慮します。

*モートン病は腫瘍性病変ではなく、反復した運動刺激や圧迫で紡錘状に肥大した神経をいいます。

保存療法(第一選択)

足底板(インソール)
横アーチを再構築する目的で、中足骨頭よりやや近位にモートンパッドを配置します。

腫瘤直下にパッドを置くと症状が悪化する場合があるため注意が必要です。

靴の工夫
つま先が狭くない、ヒールの低い靴を選びましょう。前足部の圧迫が軽減されます。

注射療法
痛みが強い場合は、局所麻酔薬+ステロイド薬を神経周囲に注射することで、炎症を抑えて痛みを軽減できます。

理学療法(運動療法)
グーチョキパー体操」など足趾の運動が、足のアーチ形成と筋力維持に役立ちます。


モートン病

足の趾神経が中足骨骨頭に挟まれて、締めつけられ圧迫されることにより神経が炎症を起こして太くなり、更に圧迫されやすくなり症状が悪化します。症状は足を踏み返す時に起こる鋭い痛みです。足の横アーチが崩れることによって圧迫されやすくなります。

治療としては横アーチを形成する足底板を作成し装着します。また趾神経が交叉している指の付け根に痛み止めと炎症止めの注射をします。またグーチョキパー体操も効果があります。

これら保存治療で改善しない場合は、炎症で腫れた趾神経を切除します。この趾神経は切除しても、あまり困ることは無く、2,3年後には感覚が回復してくるとされています。
 

モートンパッド Morton pad

モートン病に使う足底板:アーチをサポートすることにより、足部中足骨骨頭の負荷を軽減させます。モートン病(神経の腫れ)が存在する中足骨遠位直下に足底板を入れると症状が悪化することもあるので、前足部のやや近位に入れて横アーチを形成するようにします。
モートン病のレントゲン所見

A-P像にて、MTP関節より末梢がV字型に開くことがあります。
Vulcan salute sign (daylight sign)と言います。

*Vulcan salute とは、1960年代のSFレテビ番組のスタートレックにおいて、バルカン人が行う挨拶のこと。中指と環指をV字型に広げて挨拶する。台詞は「live long and prosper (長寿と繁栄を)」。