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| 整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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| 膝蓋骨軟骨損傷 Patellar cartilage injury 膝蓋骨(お皿の骨)の裏側には、大腿骨(太ももの骨)と滑らかに動くための関節軟骨が存在します。 この軟骨は摩擦をほとんど生じさせず、衝撃を吸収する役割を持ちます。 何らかの原因でこの軟骨に亀裂・浮き上がり・剥離・摩耗が生じた状態が「膝蓋骨軟骨損傷」です。 原因は大きく3つに分かれます。それぞれの発生機序と治療方針は異なります。 ① 外傷性膝蓋骨軟骨損傷(Traumatic Patellar Cartilage Injury)● 原因 転倒や膝の強打、スポーツ中の膝蓋脱臼、膝への直接的な衝撃など、一度の明確な外力が原因で発生します。 ● 病態 剥離片が安定していれば自然癒合が可能だが、動揺性が強い場合は遊離体化することもある。 ● 症状 ● 治療方針 ほとんどの症例(約90〜95%)は保存療法で改善します。 保存療法: MRI再検スケジュール: 手術適応: ● 予後 ② 慢性過負荷性膝蓋骨軟骨損傷(Overuse-related Patellar Cartilage Injury)● 原因スポーツや日常生活での膝蓋大腿関節への繰り返しの負荷が原因。 ランニングやジャンプの繰り返し 筋力アンバランス(内側広筋の弱化、外側広筋・腸脛靭帯の緊張 膝蓋骨の外側偏位・高位膝蓋骨 ● 病態軟骨が慢性的に摩擦・圧迫を受け、軟化・菲薄化していく。 ● 症状階段昇降・立ち上がり・しゃがみ動作で膝前面痛 ● 治療方針安静・動作制限:深屈曲動作を控える筋力再教育:内側広筋を中心に大腿四頭筋強化、臀筋・体幹筋も併用 ストレッチ:外側広筋・腸脛靭帯・ハムストリングを重点的に 物理療法:温熱療法・超音波・低周波刺激 薬物療法:ヒアルロン酸・NSAIDs・サプリメント(コンドロイチンなど) 姿勢・フォーム改善:ランニングフォーム、靴のインソール調整など テーピング:膝蓋骨の外側牽引を防ぐパテラテーピング ● 予後数週間〜数か月の保存療法で症状軽快。 ③ 変性性膝蓋骨軟骨損傷(Degenerative Patellar Cartilage Injury)● 原因加齢・筋力低下・肥満・ホルモン変化膝蓋骨の位置異常(高位膝蓋骨・外側偏位) 長期的な荷重ストレスによる軟骨変性 ● 病態軟骨の再生力低下により、菲薄化・裂溝形成・欠損が進行。MRIでは軟骨厚の減少と下骨の硬化像(subchondral sclerosis)が特徴。 膝蓋大腿関節症(PF-OA)の初期として現れることも多い。 ● 症状膝前面の慢性痛、階段昇降痛、正座困難朝のこわばり、膝のゴリゴリ音(crepitus) 長時間の座位・立位で悪化 ● 治療方針筋力強化:大腿四頭筋・殿筋・体幹筋で膝の安定性向上体重管理:膝蓋大腿関節への荷重軽減 温熱・超音波・レーザー治療:血流促進 関節内注射:ヒアルロン酸、PRP(多血小板血漿)など 再生医療/手術(進行例):自家軟骨移植(ACI)、骨軟骨移植、アライメント矯正術など ● 予後進行は緩やかですが慢性経過をとります。 ●再損傷を防ぐ
総括
まとめ膝蓋骨軟骨損傷は「外傷」だけでなく「使いすぎ」や「加齢変化」でも起こります。多くの症例では手術を行わず保存療法で十分に改善します。 症状の進行を防ぐには、膝蓋骨の動き(トラッキング)と筋バランスの管理が非常に重要です。 痛みや違和感が続く場合は、早期にMRI評価とリハビリ指導を受けることをおすすめします。 |
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