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整形外科 外科
リハビリテーション科

Sinding-Larsen-Johansson病(SLJ症候群)

Sinding-Larsen-Johansson病は、成長期(主に10〜14歳)の男子に多く見られる牽引性骨端症の一種で、膝蓋骨下極(膝蓋腱の起始部)に生じるスポーツ障害です。ジャンプ、ダッシュ、ストップ動作などによる膝蓋腱の牽引ストレスが繰り返されることで、膝蓋骨下端に炎症や骨端軟骨の変性が生じます。**ジャンパー膝(膝蓋腱炎)**の成長期型と位置づけられています。

臨床症状と画像所見

主症状:膝蓋骨下極の圧痛、腫脹、運動時痛(特にジャンプ・階段昇降・膝立ち)
安静時痛は通常なし。ただし、重症例では日常動作でも痛みを訴えることがあります
レントゲン:膝蓋骨下極の不整像、骨片形成、骨萎縮、石灰化など
超音波:膝蓋腱の肥厚、血流増加、腱付着部の不整像
MRI:膝蓋骨下極の骨髄浮腫、膝蓋腱の信号増加、骨片の有無などを評価可能

*骨片は(有痛性)分裂膝蓋骨の可能性もあります。要鑑別
発症要因とリスク
成長期の骨端軟骨の脆弱性
大腿四頭筋の柔軟性低下
スポーツ活動の過多(特にジャンプ系競技)
膝蓋骨アライメント不良や股関節機能低下も関与する可能性があります。

治療とリハビリテーション

治療の基本は保存療法です。

急性期(疼痛強い時期):運動制限、アイシング、必要に応じて膝蓋腱下ストラップの使用
回復期:痛みが軽減すれば、大腿四頭筋・ハムストリングスのストレッチを開始
復帰基準:圧痛消失、ホップテスト陰性、荷重時痛なしを確認し、段階的に運動復帰
再発予防:体幹・股関節周囲筋の強化、フォーム改善、運動前後のストレッチ習慣化

予後と注意点
多くは成長板の閉鎖とともに自然軽快しますが、骨片が遺残する場合や石灰化が進行した場合は、成人後に疼痛が再燃することがあります。外科的介入は稀ですが、骨片摘出術が検討されることもあります。