膝関節脱臼 dislocation of knee
大きなエネルギーが作用した交通事故やスポーツ損傷で起こります。下腿骨がどの方向に外れるかによって、前方、後方、内側、外側、回旋に分類されます。
いずれも靭帯損傷は必発です。脱臼方向によって損傷する靱帯も異なります。
後方脱臼は、後方を走る膝窩動脈の損傷、腓骨神経の損傷を起こすことがあります。膝窩動脈は下肢への唯一の動脈でありこの部分が損傷し血流が途絶えると下肢が壊死を起こしますので、緊急対応し血管の修復が必要になります。
靭帯損傷や半月板損傷のすべてを一度に修復できないときは、傷が落ち着いてから二期的に行うこともあります。
場合により膝関節の拘縮や外傷性の変形性関節症が起こります。
エビデンス:血管損傷の評価(ABI)
膝関節脱臼では膝窩動脈損傷の評価が重要で、足背・後脛骨動脈の触知に足関節上腕血圧比(ABI)≧0.9を組み合わせると血管損傷の検出感度が高いと報告されています。(Weinberg DS ら. Clin Orthop Relat Res. 2016)[1]。
エビデンス:手術時期は未確立
多靱帯膝関節損傷(膝関節脱臼)の手術時期については早期と待機的(二期的)とで明確な優劣は確立していないと系統的レビューで報告されています。(Marder RS ら. Orthop J Sports Med. 2021)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- Weinberg DS, Scarcella NR, Napora JK, Vallier HA. Can Vascular Injury be Appropriately Assessed With Physical Examination After Knee Dislocation? Clin Orthop Relat Res. 2016;474(6):1453-1458. PMID: 26847454.
- Marder RS, Poonawala H, Pincay JI, Nguyen F, Cleary PF, Persaud CS, Naziri Q, Zikria BA. Acute Versus Delayed Surgical Intervention in Multiligament Knee Injuries: A Systematic Review. Orthop J Sports Med. 2021;9(10):23259671211027855. PMID: 34671686.
参考:『スポーツ整形外科学3 下肢のスポーツ外傷・障害』 / 『関節のMRI 第3版』 / 『AO骨折治療 第3版』 / 『膝のスポーツ診療のすべて』 / 『これが私の小児整形外科診療 改訂第2版』