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整形外科 外科
リハビリテーション科

中手骨骨折 fracture of the metacarpal bone

1.中手骨骨幹部骨折

斜骨折、らせん骨折では指交叉現象が起こることがあり注意が必要です。

診断はレントゲン撮影で2-4方向を撮ります。転位があれば徒手整復しギブス固定。経過中ズレもしくはズレが起こると想定される場合は手術を考慮します。

ギブス固定は手関節から背側はPIPまで掌側はMPをフリーにしMP関節が70-90度の屈曲位になるように固定します。(石黒法)掌側トリミングはPIPが十分屈曲すれば良いとする意見もあります。galveston装具を使うところもあります。背側への突出が残存する場合は手術を考慮します。


徒手整復後変形が残るものは手術を考慮します。

2.中手骨頸部骨折(ボクサー骨折)

パンチなどでぶつけると起こる骨折です。壁を殴って受傷するケースも多いです。レントゲン4方向で完全側面を出すように心がけます。

背側に凸変形をきたし、その許容度は第二第三中手骨は解剖学的に整復を要します。環指小指ではCM関節の可動域があり、30-50度までの屈曲は許容されるとしています。(統一した意見は2015年現在のところありません。)

中手骨頸部骨折屈曲変形の許容範囲(保存療法)2025年

中手骨の部位

許容される屈曲角度

備考

第2・第3中手骨

15°以下

CM関節の可動性が乏しく、変形の代償が困難

第4中手骨

30°以下

CM関節の可動性があり、ある程度代償可能

第5中手骨

40〜50°以下

CM関節の可動性が高く、機能障害を残しにくい

※40°以上の屈曲変形では、MP関節の過伸展による代償には限界があるとされ、手術療法が望ましいとする報告もあります。


整復は簡単ながら保持するのが困難で、ワイヤー固定などが選択されます。保存的には石黒法が有効です。

3.中手骨骨頭骨折

第2中手骨が一番多い。多くは関節内骨折なので可及的に解剖学的整復を行い、鋼線固定などを行う。骨頭が粉砕している場合は手術は難しい。

中手骨頚部での骨折