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整形外科 外科
リハビリテーション科

肘頭骨折 fracture of the olecranon

成人では骨粗しょう症がベースにある人が転倒して直接肘をぶつけて起こることが多いです。子供の場合は、ほかの肘周辺の骨折に合併することが多いです。とりわけMonteggia骨折に注意が必要です。

治療は骨折が離開していなければ、ギブス固定を一ヶ月程度行います。離開している場合は骨接合術を行います。

保存療法(非手術)
適応:骨片の転位が少ない
肘を軽度屈曲位30-45°でギプス固定
(約4週間固定後、可動域訓練開始
屈曲拘縮に注意)
消炎鎮痛剤の使用
固定後に可動域訓練開始
保存治療の適応条件

適応項目

詳細内容

骨折の転位が軽度

転位(骨片のズレ)が 2mm以下 で、関節面の不整がない場合。

伸展機能が保たれている

三頭筋の牽引力による骨片の離開がなく、自動伸展が可能な場合。

関節内骨折でも整復可能

関節面の骨折でも、整復位で安定し、関節面の不整が残らない場合。

高齢者や活動性が低い患者

手術リスクが高く、機能的要求が低い場合(例:寝たきり、軽度の日常動作のみ)。

合併症のリスクが高い場合

心疾患、糖尿病、抗凝固療法中などで、手術による合併症リスクが高い場合。

患者の希望

手術を強く望まない場合。ただし、機能障害のリスクを十分説明する必要あり。

保存治療の方法と注意点

固定方法

上腕尺側ギプス(long arm cast)や肘装具(elbow brace)で に固定。通常 約4週間 程度固定後、徐々に可動域訓練開始。
リハビリ
固定解除後は 関節拘縮予防 のため、早期の可動域訓練 が重要。三頭筋の筋力回復も並行して行う。
合併症リスク
転位が進行する可能性 → 定期的なX線フォローが必要。関節拘縮、偽関節、機能障害のリスクあり。

保存治療が不適応となる例

不適応項目

説明

転位が2mm以上

関節面の不整が残ると、変形性関節症のリスクが高まる。

三頭筋の牽引で骨片が離開

自動伸展不能 → 機能障害のリスクが高い。

若年者・高活動者

スポーツ選手や肉体労働者では、機能回復を優先して手術適応

開放骨折や合併損傷あり

感染や神経・血管損傷がある場合は、緊急手術が必要

手術療法  

方法

適応

特徴

テンションバンドワイヤリング(TBW)

単純骨折

鋼線とワイヤーで固定し、早期リハビリが可能

プレート固定

粉砕骨折

骨片が多い場合に使用。安定性が高い