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整形外科 外科
リハビリテーション科

鼡径部痛症候群 groin pain syndrome

 アスリートに生じる鼡径部痛(ほかに下腹部痛、内転筋根部、睾丸後方、大腿直筋付け根)のことです。頑固な痛みで選手生命に影響することもあります。かつてはスポーツによる鼠径ヘルニアとして手術が行われてきましたが、最近ではヘルニアとは関係ないとされ鼡径部痛症候群の治療目的として鼠径ヘルニアの手術を行うことは無くなりました。

 未だに原因が分からず、また治療法も確立されていませんが、運動を休止すれば日常生活での痛みは改善します。

 診断はまず器質的な疾患の有無を調べます。鑑別診断として、内転筋肉離れ、内転筋付着部炎、大腿直筋および下前腸骨棘周囲の炎症、腹直筋付着部腱炎、恥骨坐骨の疲労骨折、神経のエントラップメント、裂離骨折、疲労骨折、変形性股関節症、ペルテス病などの股関節炎、股関節臼蓋形成不全、関節唇障害、FAIなど周辺で起こりうるものすべてが該当します。

 腸腰筋の挫傷が起こっていることもあるので抵抗をかけて股関節を屈曲したときに痛みが誘発される場合はMRIが有効です。腸腰筋損傷では運動の休止後、4-6週間かけて復帰します。

 該当するものが見つからない場合に鼡径部痛症候群と診断します。治療は運動量を調整を中心の体幹の機能、バランスの強化、関節可動域の改善をめざしてストレッチを行います。

 発症すると治療に難渋しますので日頃よりコンディションを整えておくこと、また捻挫等の外傷を庇ったまま運動を継続しないように心がけます。