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整形外科 外科 リハビリテーション科

関節過可動症候群 joint hypermobility syndrome

全身の関節が弛緩する病態で、軟部組織の器質的異常が原因です。子供ではよくみられます。

推定有病率(参考値)
小児・若年者:10〜30%(特に学童期では高頻度)
成人一般:約5〜15%
女性成人:最大で20%以上と報告されることも
高齢者:1〜5%未満(加齢による関節硬化)
 
エーラスダンロス症候群、Marfan症候群、ロイス・ディーツ症候群、骨形成不全と確定診断された場合は含まないとされています。

診断基準(Beightonスコア)

Beightonスコアは、関節過可動性を評価するための国際的な指標です。以下の9点満点で評価されます:

評価項目

条件

点数

小指の過伸展

小指が90°以上反る(両側)

各1点

親指の掌への接触

親指が前腕に接触(両側)

各1点

肘の過伸展

肘が10°以上反る(両側)

各1点

膝の過伸展

膝が10°以上反る(両側)

各1点

前屈

膝を伸ばしたまま手のひらが床に接触

1点

合計:5点以上で過可動性の可能性あり(成人の場合)

両膝関節可動域が10°以上の過伸展を呈するのが特徴で、立位では反張膝となりやすい。慢性の膝痛を訴えることも多い。扁平足の合併もみられます。

症状
慢性的な関節痛(特に膝、肩、腰)
筋肉疲労やこわばり
捻挫や脱臼の頻度増加
姿勢不良や運動時の不安定感
消化器症状(一部の患者では腸の運動異常)
自律神経症状(起立性低血圧、頻脈など)
幼児期~学童期で膝痛がみられる場合、内側アーチサポートヒールアップウェッジ補高を行うと症状が改善しやすいとされています。