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整形外科 外科
リハビリテーション科

化膿性関節炎 septic arthritis

関節内に細菌が入り化膿する病気です。ほかのところから血流によって細菌が運ばれてくる場合、近接する骨に生じた骨髄炎が波及する場合、外傷や注射、手術などにより直接菌が関節内に入り込む場合があります。

局所症状は感染症と同じで関節痛、発赤、腫れが生じ、全身の症状として発熱、悪寒、振戦などが出ます。

子供の場合、はっきりと言えないこともありますので注意が必要です。動かさない、不機嫌などにも気をつけるようにしてください。小児の骨髄炎合併例では骨の開窓、排膿を検討します。

ブドウ球菌が原因菌であることが多いです。既往として手術や関節穿刺、糖尿病、免疫抑制剤、心内膜炎などがないか尋ねます。敗血症から起こることもあります。

 診断

検査

内容

関節穿刺

最重要:白血球数 >50,000/μL、好中球優位、培養

血液検査

CRP↑、白血球↑、血液培養(陽性率約50%)

画像検査

超音波(関節液貯留)、MRI(骨髄炎合併の評価)


抗菌薬投与(初期は経験的に)

状況

抗菌薬

健常成人

セファゾリン or バンコマイシン(MRSAリスク)

免疫抑制・高齢者

セフトリアキソン + アミノグリコシド

淋菌疑い

セフトリアキソン + ドキシサイクリン

※培養結果に応じてde-escalation

2. 関節ドレナージ

穿刺排液(毎日または持続吸引)
関節鏡下洗浄(特に股関節や治療抵抗例)
開放手術(重症例)
治療は入院の上、局所の安静を行い抗生物質を点滴します。関節に膿がたまっている場合は注射器で抜きます。24-48時間以内に症状が改善しない場合は手術を行ってドレナージします。また持続潅流する方法も行うことがあります。

症状が落ちいてくれば早期にリハビリテーションを開始します。関節の変形や痛みなどの障害が残ることがあります。

*結核性関節炎 股関節や膝関節に多く、徐々に腫れますが熱感に乏しい。関節液の検査(検鏡、培養)、PCR検査を行います。

*淋菌性関節炎 遊走性多関節炎で発症します。

*結晶性関節炎(痛風、偽痛風)鑑別は時として困難です。発熱の程度に比して全身状態は非常に良好です。関節に菌があるかどうかで判断。