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池田医院・診療日記
信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして

整形外科 外科 リハビリテーション科

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平成27年11月1日(日)
 
平成27年11月2日(月) 脆弱(ぜいじゃく)性骨折

 脆弱と書いて「ぜいじゃく」と読みます。文字通り脆(もろ)くて弱いという意味です。高齢になって骨粗しょう症が進むとちょっとした外力で骨が折れることがあります。

 ふらついて踏ん張ったとか記憶に残らない程度の微細な外傷でも起こります。いつの間にか痛くなってきたとのことで受診されることがよくあります。

 特に骨盤の脆弱性骨折は見逃されることもあり注意が必要です。痛みがあるにも関わらずレントゲンで写らない不全骨折(不完全骨折)が疑われる場合はMRIによる精査も行うとよいでしょう。

 いずれにせよ痛みがある間は経過観察し必要に応じて経時的にレントゲン撮影を行います。
 
平成27年11月3日(火) 文化の日
 
平成27年11月4日(水) 非特異的腰痛症

 「特異」の意味は「特に異なっているさま」を言います。「特異的」と書いて免疫学では「酵素や抗体が特定の基質や抗原に対して特異性をもっている さま」(Weblio辞書)を表しています。Aという事象に対してBという事象が特徴的に起こる場合、「特異的」と表します。

 そういう定義の腰痛症を特異的腰痛症といいます。すなわち腰痛の原因と臨床症状が合致しているという意味です。分かりやすく言うと、椎間板ヘルニアがあり圧迫している脊椎レベルと神経根症状が合致している場合などを言います。逆に所見と症状が一致しない腰痛症を非特異的腰痛症と呼びます。

 要するに原因のはっきりした腰痛を特異的といい、はっきりしないものを非特異的(症状と画像所見が一致しない、紐付けできない。)といいます。画像診断で椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症、椎間板変性などの疾患があっても症状と合致しないものは非特異的腰痛症に分類されます。実はこの非特異的腰痛症が腰痛症の85%を占めると言われています。

 しかしながら症状と所見が紐付けできないからと十把一絡げに非特異的腰痛症というのもどうかなと思っています。痛みがあるのは何らかの原因があるわけで、それが画像診断や臨床所見と合致しないからといって大丈夫とするのはおかしなことです。最近、痛み信号を抑制する前頭葉の部分が萎縮することによって痛みを強く感じるという説があります。

 弱い痛みの信号が抑制されずより強く感じてしまうメカニズムはまだまだ未解明と言えます。これから30年もすればもう少し分かる知れませんが痛みは待ったなしですし今の現状の理解で診療を進めざるを得ません。
 
 
平成27年11月5日(木) 非特異的腰痛症 その2

 数ある腰痛症を特異的、非特異的に分け85%が原因が分からない非特異的腰痛であるとされますが、残りの15%は症状と所見が合致する特異的腰痛であり、なかでも絶対に見逃してはいけない疾患があります。それは癌です。もちろん鑑別診断として腹部大動脈瘤の切迫破裂や急性膵炎、尿管結石なども考慮します。

 脊椎の癌の多くが転移性で原発巣が骨以外に発生します。脊椎に発生した癌の特徴は教科書的には、安静時痛なのですが実際には体動時痛のみのことも、またレントゲン所見がまったく異常を認めないこともあります。

 これを見逃さないためには疑われる方にはMRIを行うのがよいと考えます。経験的にはほんの少しの痛みがあるだけで他の症状は無いのにも関わらず癌が見つかることもあります。

 癌などの余命に影響する疾患をしっかりと診断することが最初の大きなステップとなります。
 
 
平成27年11月6日(金) 骨端軟骨損傷

 成長期の子供には成長軟骨があります。この成長軟骨はここで新しい骨が作られて伸びます。手や足の長い骨(長幹骨)では端の方にあるので骨端軟骨と言います。四肢を捻挫すると骨が折れずに骨端軟骨が損傷することがよくあります。軟骨はレントゲンでは写りませんから骨と骨にサンドイッチされた見えない部分(通常、黒く見えます)が損傷した側が開いていたりします。そうでない場合もその場所を押さえると痛みを訴えます。

 成長軟骨の損傷が疑われる場合はしばらくシーネやギプスで固定します。

 特殊な骨折として急性塑型性変形というのがあります。これは見逃されやすいの注意が必要です。
 
 
平成27年11月7日(土) フットボーラースアンクル(衝突性外骨腫) 

 サッカー選手に多く発生します。サッカー、バスケット、ラグビー、器械体操など足関節を伸展、屈曲して荷重がかかるスポーツで起こります。足関節を構成する骨同士が衝突し炎症を繰り返すと骨が増殖して外側に飛び出してきます。(骨棘の形成、外骨腫)

 内反、外反で起こる場合は内外果や距骨の内外足部に骨棘を形成します。外骨腫が骨折して関節内に遊離すると時に嵌頓して激痛を起こします。治療は急性期は運動を控えて局所の安静やテーピング、サポーターを行います。こういった保存的治療で改善しない場合は骨棘を切除する手術を考慮します。
 
平成27年11月8日(日)
 
平成27年11月9日(月) 半月板断裂

 膝のクッションとして三日月状の線維性軟骨が内側と外側にあります。それぞれ内側半月板、外側半月板といいます。70%以上が水分で残りはコラーゲンを主とした線維成分で出来ています。半月板は血流に乏しくそれ故に治りにくい場所として知られています。

 外側1/3の半月板断裂は血流があるので自然経過で治る可能性があります。また詳細な研究によれば、外1/3を含めた断裂もまた治ることがあるとされています。それ以外の中1/3、内1/3のみの損傷は極めて治りにくいと言われています。

 診断は臨床症状を元にMRIを行うわけですが、症状がなくても断裂が見つかることもあります。無症状のものや生活に支障がない軽い症状のケースでは経過をみます。また痛みによって関節の可動域が落ち周辺の筋腱が萎縮して本来の半月板の痛み以外に症状が出ていることもありますので注意が必要です。
 
 
平成27年11月10日(火) 有痛性外脛骨

 外脛骨とは通常の人には無い骨ですが15%ぐらいの人には足の舟状骨の後ろ側にあります。余剰骨や過剰骨と言われます。外脛骨の後ろ側には後脛骨筋が付いており足のアーチを保つ役目をしています。外脛骨の形態には3種類あって、舟状骨と完全に合体しているもの、線維性結合だけのもの、離れているものがあります。いずれの形態でも後脛骨筋腱に引っ張られてたり内側の出っ張りが靴などと干渉して痛みを誘発することがあります。特に線維性結合や分離しているものは捻挫などによって不安定となり結合部で炎症が起こると長引くことがあります。

 一方、たまたまレントゲンで見つかるものは外脛骨があっても症状も無く経過しているケースもよくありますので過剰に心配する必要はありません。通常は手術することも無くアーチをサポートする足底板等の保存的な加療をすれば症状は改善します。難治性の場合は手術を考慮することがありますが、極めてまれと考えてよいでしょう。
 
 
平成27年11月11日(水) レジ袋麻痺(paralysis of plastic bag)

 スーパーのレジ袋に重いものを入れて指先近くで持つと総指神経の枝である指神経の絞扼性神経障害(圧迫されて締め付けられることによって起こる神経障害のこと)が起こることがあります。先日たまたま私も指一本でレジ袋を持ってしまったらその先がしびれて治るのに数日掛かりました。絞扼性神経障害は神経のダメージが少ない間に原因が解除されると十分治りますが、圧迫時間が長い場合や繰り返す場合は慢性化することもあります。

 はっきりと原因が特定できない場合は他の疾患を除外診断する必要があります。いずれにせよレントゲン撮影や超音波断層検査を行っておいた方がよいでしょう。治療は原因となる圧迫を解除して消炎鎮痛剤や神経を元気にするビタミンB12などを投与します。強い痛みが生じる場合はプレガバリンなどの疼痛遮断薬も考慮します。

 *ここでいうビタミンB12は医療用の単剤で容量の大きなものです。
 
 
平成27年11月12日(木) パンコースト腫瘍症候群 Pancoast's syndrome

 パンコースト腫瘍とは肺の上端付近(肺尖部)に癌が出来ることをいいます。ここに出来る癌は大きくなると頸部の方に伸展して腕神経叢を刺激し鎖骨上の痛み、上肢の激痛、時にホーナー症候群を起こします。見逃してはいけない病気ですが、頸椎症や肩の病気と誤診されることが多いといわれています。

 診断は単純レントゲン撮影に加えてMRIやCTを行います。治療は化学療法や放射線療法が行われます。痛みに対しては対症療法で消炎鎮痛剤などが用いられます。
 
 
平成27年11月13日(金) 三角筋下滑液包炎

 滑液包は筋肉、腱、関節包の滑りをよくするために袋状に間に挟まるようにあります。肩の場合は三角筋の裏側と肩関節包〜腱板に間にあって、強くぶつけたり、微少な外傷の繰り返しで炎症を起こし肩関節周辺の痛みと可動域制限を引き起こします。

 特に肩関節を外転、外旋すると痛みが出やすいです。治療は消炎鎮痛剤や理学療法を行います。改善しない場合は滑液包に注射を行うこともあります。
 
 
平成27年11月14日(土)
 上腕骨骨頭無腐性骨壊死(無血管性骨壊死) osteonecrosis of humeral head

 骨にある血管が途絶えて循環障害を起こすとその支配領域の骨が壊死を起こしてきます。股関節(大腿骨骨頭)が有名ですが、上腕骨の骨頭もまた1〜1.2mmの細い動脈しかなく外傷やコルチコステロイドの使用、アルコール乱用、膠原病(とりわけSLE)、Cushing症候群、放射線治療などで発症します。

 約半数の症例で両側にみられます。

 症状は肩関節上部の痛み、圧痛、周辺への放散痛です。肩関節を動かすと症状が悪化します。診断にはレントゲン撮影(初期には所見に乏しい)を、疑わしいときは引き続きMRIを行います。

 治療は消炎鎮痛剤、温熱治療などを行います。改善しない場合は手術療法を考慮します。手術は人工骨頭置換術が主ですが、若い人には骨頭温存術も行うことがあります。
 
平成27年11月15日(日)
 
平成27年11月16日(月) 棘上筋症候群 spraspinatus syndrome

 肩甲骨に付着する主な筋肉として肩甲骨の後ろ側の棘上筋、棘下筋、小円筋、裏側に肩甲下筋があります。これらの筋肉はいずれも使い方によって微少な外傷を繰り返して炎症を起こし痛みを生じることがあります。

 棘上筋症候群は文字通り棘上筋の筋筋膜性疼痛症候群です。窓を拭いたり組み立て工場の作業、天井などの上方の作業などで起こってきます。(逆に何も大したことをしてない人にも起こることもあります。)

 肩甲骨上縁に圧痛点があります。ここから上肢にかけてデルマトームに一致しない痛みが生じます。多くがうつや不安を合併しているとされています。治療はトリガーポイント注射や消炎鎮痛剤、疼痛遮断剤、などを用います。
 
 
平成27年11月17日(火) 三角筋症候群 deltoid syndrome

 三角筋の筋筋膜性疼痛症候群のことです。運動などの外力で痛めたり、過度に使うことによって起こります。

 三角筋に特有の圧痛を認めます。また圧痛点から腕に放散する痛みを訴えます。長時間座って仕事をしたり姿勢の悪化でも起こりえます。

 加えて精神的なストレスでも症状が悪化するので注意が必要です。鑑別としては炎症性疾患、多発性硬化症、膠原病などです。

 治療は急性期は患部の安静と消炎鎮痛剤を行い、慢性期には理学療法等を組み合わせます。

 同様に大円筋に症状を起こすものを大円筋症候群(teres major syndrome)と言います。 
 
平成27年11月18日(水) 肩甲肋骨症候群 scapulocostal syndrome

 肩甲骨内側縁より痛みと知覚異常や三角筋から手背にかけての放散痛、肩甲骨の可動域制限が起こります。車で移動するセールスマンが後部座席の荷物を取るのを繰り返すと起こりやすいことから「セールスマンの肩(traveling salesman's shoulder)」と呼ばれます。微少な外傷を繰り返すことによって起こります。この疾患は棘下筋に著明な圧痛を認めます。治療は痛む動作をしばらく控えて消炎鎮痛剤などを投与します。理学療法も効果的です。

  
 
平成27年11月19日(木) 遠位上腕二頭筋腱断裂 distal biceps tendon tear

 米国の報告では30-60歳の男性にみられ近位の断裂が97%、遠位は3%とされています。日本では珍しい疾患です。バーベルを持ち上げたり強いが威力が働くとポップ音とともに断裂します。断裂すると二頭筋の筋腹がポパイのように膨らみます。

 成書では受傷3週間までに手術を行うのがよいとされています。手術をしない場合は、肘関節の屈曲力が30%、前腕の回外力が25−50%ほど筋力低下します。ただし手術にもトラブルが起こることがありますので、担当医にじっくり説明を受けるのがよいでしょう。

 
 
平成27年11月20日(金) 肘周辺の筋筋膜炎(肘筋症候群 回外筋症候群 腕橈骨筋症候群) myofascitis of elbow 

 肘周辺の筋肉に外力が加わって微少な損傷を繰り返すと炎症が起こり痛みを誘発します。テニス、ゴルフ、アイロンがけなど一定の動作を繰り返すことによって発症します。テレビを見る姿勢やコンピューター作業なども原因となります。また精神的ストレスは症状を悪化させる要因になることがあります。

 いずれも使い過ぎによる痛みですので局所の安静、無理のないストレッチ、消炎鎮痛剤、理学療法などを行います。
 
 
平成27年11月21日(土) 肘部管症候群

 尺骨神経が肘のところで絞扼(何らかの原因で締めつけられること)されると前腕外側〜環指外側〜小指にかけてしびれが出ます。ゴルフ肘とよく間違われます。C8の神経障害を起こす頚椎疾患を鑑別する必要があります。肺尖部に発生するPancoast 腫瘍もまた下方から腕神経叢に浸潤してC8(〜7)の症状を出すことがありますので注意が必要です。

 頸椎症による神経障害と肘部管症候群が合併するいわゆるダブルクラッシュ症候群を起こすこともあります。
 
平成27年11月22日(日)
平成27年11月23日(月) 勤労感謝の日
 
平成27年11月24日(火) 肘部外側前腕皮神経絞扼性障害 lateral antebrachial cutaneous nerve entrapment at the elbow

 頚髄→腕神経叢(外側枝)→筋皮神経(上腕二頭筋を貫いて)→(肘のレベルで)外側前腕皮神経となります。筋皮神経の支配筋は上腕二頭筋、烏口腕筋、上腕筋(上腕筋は筋皮神経と橈骨神経との二重支配)

 筋皮神経が絞扼や圧迫で障害されると上腕二頭筋力が低下し、加えて前腕外側にしびれや知覚低下を引き起こします。肘レベルで外側前腕皮神経が絞扼されると上腕の症状は無く前腕外側のしびれや知覚低下を起こします。

 これに似た症状は、頸椎症やパンコースト腫瘍でも起こりますので注意が必要です。治療は絞扼の原因に応じて行います。
 
 
平成27年11月25日(水) 肘頭滑液包炎 olecranon bursitis

 肘の裏側がポッコリと腫れてくる疾患です。打撲などの急性外傷や肘をつき微小外傷を繰り返す場合に起こります。時に発赤と痛みを伴って腫れてくることがあります。この場合は細菌感染も考慮して治療しなければなりません。

 痛みも発赤も無くただ腫れている場合は、滑液包なのかどうかレントゲンや超音波検査で鑑別して治療します。感染が疑われる場合は血液検査に加えて腫れた部分を穿刺して細菌検査を行い、同時に治療を開始します。
 
 
平成27年11月26日(木) 手根隆起症候群 carpal boss syndrome

 第2、第3手根中手(CM)関節の外骨腫(というよりOA様変化)により背側に突出し痛みが生じます。発症年齢は30代に多くみられます。比較的若い年齢に多いということは手の使い方の問題、すなわち仕事や趣味での負荷や外傷などが関わっている可能性があります。単純に加齢による変化ではなさそうです。

 治療は局所の安静と業務等の見直しが必要となります。変形自体は保存的には治りませんが痛みを軽減することは可能です。
 
 
平成27年11月27日(金) PIP関節脱臼

 大きな外力が掛かるとPIP関節で脱臼が起こります。脱臼の方向によって側方脱臼、背側脱臼、掌側脱臼、回転外力による脱臼に分けられます。

<PIP関節側方脱臼>
 側方脱臼は側副靭帯と掌側板の断裂を合併します。側方ストレス撮影を行い30度以上の不安定性を有する場合は靱帯再建を勧めます。不安定なまま放置すると断裂組織の瘢痕化や炎症により疼痛や腫脹が改善しない、またOA様変化を来すことあります。30度以上の不安定性のあるもの、陳旧例で痛みの継続するもの、断裂組織が介在するものは手術を考慮します。

 保存的治療はストレステストで30度以下で動揺性の無いもので行います。外固定は背側副子でPIP関節約30度屈曲位、またはバディテープ法を行う。骨折を伴わない場合は2週間固定をします。急性期の炎症が消退すればただちに可動域訓練を行うようにします。(関節拘縮の予防)

 手術療法は端端縫合もしくはアンカーピンによる固定を行います。
 
 
平成27年11月28日(土)  PIP関節脱臼2

 <PIP関節背側脱臼>


 PIP関節の脱臼は多くは背側脱臼で掌側板の断裂や中節骨基部掌側顆部骨折を伴います。簡単に整復された場合や裂離した骨片が大きくなく転位や回転がほとんどない場合は保存的に治療します。それ以外は早期に手術を行います。無理な整復で損傷をひどくしないことが大切です。

<PIP関節掌側脱臼>

 まれに掌側に脱臼することがあります。伸筋腱中央索の断裂によりボタンホール変形となりやすいので新鮮時に再建術を行います。

<回転外力によるPIP関節脱臼>

 ねじれによる皮膚軟部組織の裂創を伴い血行再建が必要なこともあります。
 
平成27年11月29日(日)
平成27年11月30日(月) 痛み止めの選択

 整形外科疾患では痛みをどのようにコントロールするのかが腕の見せどころです。最近、高齢者への第1選択薬としてアセトアミノフェンが推奨されています。昔からあるお薬ですが副作用が少ないので見直されています。

 このアセトアミノフェンですが通常量では効き目はとても弱いです。そこで大量(上限一日総量4000mg)に投与できるように添付文書が改訂されています。

 ただ『重篤な肝障害→1日総量1,500mgを超す高用量で長期投与の場合,定期的に肝機能検査を行い(高用量でなくとも長期投与の場合,定期的に肝機能検査を行うことが望ましい)』『高齢者及び小児等には副作用の発現に特に注意し,必要最小限の使用にとどめる等慎重に』とあり増量にも慎重さが必要です。

 当院の場合、高齢者に使用する場合はアセトアミノフェンとして1日総量600-900mgでスタートしますが効き目は弱いです。そこで改善しない場合は増量して一日総量1,200-1,800mgを使うようにしています。

 それでも効かない人には腎機能に気をつけながら従来どおりの消炎鎮痛剤を少量より使用します。また病状により疼痛遮断薬、非麻薬性鎮痛剤、抗うつ剤などを投与します。