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池田医院・診療日記
信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして

整形外科 外科 リハビリテーション科

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2018年8月 今年は暑い!
1日(水) 
2日(木) 本日のコラム397 腱断裂による偽性麻痺

 腱の皮下断裂により、一見麻痺が生じたように見える疾患があります。多いものとして、固有小指伸筋腱と総指伸筋腱が皮下で断裂して少子の伸展障害を起こします。環指小指が断裂すると二本とも下垂して自動伸展運動ができなくなります。断裂が緩徐に発症する場合が多いとされていますが、自験例ではポップ音とともに断裂するケースもありました。

 特徴は知覚障害が無いこと、遠位橈尺関節付近の腫脹、圧痛を認めます。治療は腱移行術または腱移植術となります。
 
3日(金) 本日のコラム398 風太郎+Blueair

 あまりに暑いので空気清浄機の上に「風太郎」を乗せてみました。喧しさとトレードオフですけど、涼しくなりました。

診察周りの室温は21.6度と寒いぐらいです。

 
 
4日(土)  
5日(日) 
6日(月)  本日のコラム399 後根神経節炎

 神経根は前根と後根があります。後根には後根節があり、ここには偽単極性神経細胞体が存在し、深部感覚、表在感覚の神経線維が通っています。この細胞体は血液神経関門が脆弱な部位であり、神経細胞体は障害を受けやすい。細胞体の障害により、そこから伸びる末梢、中枢側の軸索が変性を起こし、様々な症状が出ます。

 後根神経節炎の主な症状:感覚性運動失調、腱反射の減弱・消失、などのさまざまな感覚障害が生じます。

 感覚障害は左右非対称で、多発性の髄節性分布をとり身体の遠位、近位いずれにもみられます。

 鑑別診断:ポリニューロパチーは障害部位に距離依存性がある
       :多発性単神経炎→髄節性では無く末梢神経単位で症状が起こる

 筋力低下は起こさないが、関節位置覚の障害や強い異常感覚・疼痛によりうまく力が入れにくいことがある

→神経内科で精査が必要です
 
7日(火) 本日のコラム400 腕神経叢障害

 ・悪性腫瘍に関連した腕神経叢障害
 腋窩(わきのした)へのリンパ節転移やPancoast腫瘍(肺がん上葉)が腕神経叢に浸潤したり圧迫することによって神経症状を呈する。
 ・感染性腕神経叢炎
 帯状疱疹ウイルスの神経根レベルの感染ではなく、神経叢レベルでの感染で生じる。EBウイルス感染で末梢・中枢神経合併症が報告されている。
 
8日(水) 本日のコラム401 首下がり症候群 Dropped Head Syndrome

 首下がりとは、頚部が異常に前屈して頭を挙上し続けるのが困難な状態をいいます。座位、立位で下を向いたようになり、前を向くのが困難な状態となります。ひどくなると呼吸や嚥下が難しくなることがあります。

・原因
 1.頚部伸展筋群の筋力低下
 2.頚部屈筋群の緊張亢進

 後ろが弱るか、前が強くなってしまうかという話。

 原因疾患
 1.筋力低下
  限局性頚部伸展性ミオパチー
  重症筋無力症
  筋萎縮性側索硬化症
  多発性筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎
  慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  カルチニン欠乏症
  顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー
  先天性ミオパチー
  副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症

 2.錐体外路疾患
  パーキンソン病
  多系統萎縮症
  遺伝性脊髄小脳変性症

 3.薬剤性
  ドパミンアンタゴニスト
  DPP4阻害剤
  アマンタジン

 4.脊椎疾患
  頸椎症

 首下がり症候群には様々な原因があり、頸椎症と早合点しないことが重要。

 <診断手順>

 頚部筋肉の緊張を診る。後部の緊張低下、前部の緊張亢進などの有無をチェック。仰臥位で首下がりが消失すれば、前部の緊張性の可能性は低くなる。頚部・四肢の筋トーヌスが正常なら錐体外路系疾患は可能性が低くなる。MMTでの筋力評価。腱反射の評価。感覚障害や自律神経障害の有無。甲上腺機能の評価。

重症筋無力症:抗アセチルコリン受容体抗体、低頻度反復刺激試験での減衰

 針筋電図検査、筋生検
  
9日(木)
10日(金)  本日のコラム402 夏期休暇のお知らせ

8月11日(土)〜16日までお休みします。

*通院中の方の緊急対応は行いますので、診察ノートの表紙に記載してある院長携帯電話までご連絡ください。
 
11日(土)夏期休業 11日〜16日
12日(日)夏期休業
13日(月)夏期休業
14日(火)夏期休業
15日(水)夏期休業
16日(木)夏期休業
17日(金)
18日(土) 
19日(日)
20日(月) 
21日(火) 本日のコラム404 超音波ガイド下筋膜リリース(Fasciaリリース)

 グーグルで検索してみても、京都府(市)で超音波ガイド下筋膜リリース(Fasciaリリース)を実際に行っている医療機関は、当院ぐらいしか見当たりません。もちろん、ネットに出てこないケースもあるとは思います。それにしても少ないです。

 よくある筋膜炎などは、注射をすればたちまち痛みが改善します。先日も腰が痛くて伸びない患者さんに行ったところ、不思議なぐらい楽になって伸びるようになったと大変喜んでいただきました。

 筋膜の重積部分に超音波画像を見ながら注入しリリースします。手技自体は簡単なのですが、超音波画像が読めないと出来ません。ここが最大の難所で、常々超音波を行っている先生にとっては、なんと言うことはない簡単なことなのですが・・・。

 これまで筋膜炎ですと、治療に2−3週間掛かったケースもよくあったのですが、筋膜リリースだとその場でほとんどの痛みが改善しますので治療期間を大幅に短縮できます。また他の保存的治療で改善しないケースでもかなりの効果がみられます。

 原因は、筋膜やFasciaが異常な反応を起こして重積状態・・・すわなち膜の過剰な緊張による血流障害が起こり、結果として血流障害が発生し、酸欠の状態になり疼痛が生じているのではないかと推察されています。

 従って、重積部分に注射により水分をいれてスペースを広げてやると血流が改善し、痛みも無くなるのだと考えています。他にも水分を入れて治ることから局所の脱水ではないかという意見もあります。

 ただし、より内部(例えば椎間板ヘルニアなど)からの放散痛には効果がありませんので、なんでもかんでも打てば良いと言うことではありません。的確な診断を行って適応をしっかりと見分ける必要があります。
 
22日(水)
23日(木) 本日のコラム405 ジェット機のコックピットという話もありますけど診察机の上はこんな具合になってます



 診察机周りの状況です。ディスプレーが6枚+隠れて見えませんがノートPC1台、合計7つのモニターを駆使して診療しています。写真では小さく見えますが、実際見るとかなりでかいです。大学病院のカンファレンスルームを思わせます。患者さんからはコックピットみたいと言われてます。気持ちは大空を羽ばたいています。
 
24日(金)
25日(土)
26日(日)
27日(月)  本日のコラム406 頸椎症と鑑別を要する疾患 その1

・ALS(筋萎縮性側索硬化症)
 運動麻痺が進行する難病 診断は難しく、初発症状は上肢遠位部の筋力低下と筋萎縮が多い。下肢から発症する場合もあります。後頸筋群の障害で首下がりとなる。前頚部筋も障害されると臥位で首が前屈できない。前腕筋の障害で握力低下、手内筋で箸がうまく使えない、字がうまく書けないなどの指の巧緻運動障害がでます。
 麻痺はいずれの部位から発症しても筋力低下と筋萎縮は徐々に拡大して、球麻痺、四肢麻痺となり、数年後には大多数が臥床状態となります。
 筋萎縮と線維束性収縮、猿手・鷲手、球麻痺、呼吸筋麻痺

 陰性4徴候:ALSでない徴候:外眼筋麻痺、感覚障害、排尿(便)障害、褥瘡
 
28日(火) 本日のコラム406 頸椎症と鑑別を要する疾患 その2

 *球麻痺とは
  球とは延髄を意味します。球麻痺は、延髄の麻痺、すなわち、延髄の運動神経核病変による麻痺、脳幹下部の脳神経(IX〜XII)が支配している筋の下位運動ニューロン性両側性麻痺。

 *偽性球麻痺
 脳幹より上位の両側脊髄路の障害による上位運動ニューロン麻痺により球麻痺と同様の症状を呈する

 →脳神経(IX〜XII)とは
 XI:舌咽神経・・・舌の後ろ1/3の味覚、咀嚼、嚥下
 X:迷走神経・・・咀嚼と嚥下、副交感神経支配
 XI:副神経・・・・僧帽筋・胸鎖乳突筋
 XII:舌下神経・・・舌の動き

 球麻痺の症状
  嚥下障害:つかえ感、むせる、水が鼻に逆流
  構音障害:鼻声、呂律が回らない

 球麻痺の原因(偽性も含む)
 脳血管障害
  ・脳幹梗塞(初期めまい、四肢麻痺、眼球運動障害、小脳失調、錐体路症状)
  ・椎骨動脈解離(発症時の持続する後頸部痛、後頭部痛、麻痺や失調、)
 運動ニューロン障害(ALS、球脊髄性筋萎縮症) 舌や小手筋の萎縮や痙攣、錐体路症状

 脱髄疾患(多発性硬化症、散在性脳脊髄炎、視神経脊髄炎)
 ギラン・バレー症候群(先行感染)
 肥厚性硬膜炎(頭痛、微熱、血液慢性炎症所見、MRIで硬膜肥厚)
 重症筋無力症(眼瞼下垂、症状の日内変動、活動後に症状、テンシロンテスト陽性、反復刺激テストでwaning)

 
29日(水) 本日のコラム407 中学生の腰痛は腰椎分離症に注意

 運動部で活動する中学生が腰痛を訴えたら、まず第一に「腰椎分離症」を思い起こしてください。腰椎分離症は、運動負荷による疲労骨折であると最近では理解されています。昔は生まれつきのものと思われていましたが、そうでは無く疲労骨折が生じているのです。

 早期発見すれば、十分に治る可能性があります。様子をみて治療が遅れると元に戻らない偽関節となって生涯治りません。また腰痛も少し休んでいると治ってしまうことが多く、腰痛は治まっても疲労骨折は治ってないのでそのまま悪化します。

 従って、兎にも角にも整形外科に速やかに受診し、レントゲンとMRIの検査を行いようにします。ここが一番大事です。レントゲンだけでどうもないと言われてもMRIで見つかるケースが一番治りやすいのです。レントゲンで大丈夫というのは当てになりません。運動歴を踏まえてMRIを行うようにします。

 早期の腰椎分離症であれは、3ヶ月程度の硬性コルセットを装着します。その間、運動は控えます。

 3ヶ月後にMRIを行い、分離が治っていれば徐々に運動を再開します。当初、運動時には背屈制限が出来る装具を装着します。
 
30日(木) 本日のコラム408 痛みの原因は一つではないこともよくあります

 整形外科分野では、複数の原因が並行して起こり、痛みなどの症状を複雑なものしていることがあります。例えば、腰痛ひとつとっても、筋膜、神経、関節、血管、ストレスなどの障害が組み合わさっている場合もよく見られます。

 神経障害は脳神経から末梢神経までいずれの経路が傷害されても症状が出ますが、複数の場所に問題があり、症状が強く出たり変則的な症状となっていることがあります。

 診断においては、一つ一つの症状が、合致するのかを確かめます。画像診断はくせ者で、異常所見が見つかったら、必ずいまでている症状を説明できるかどうかを考えます。理屈に合わなければ、画像の異常はあっても症状が出ていないと判断します。また画像の異常があって症状の出方は一致するが、通常より強すぎる場合は何か別の要因が加わっていると考えるようにします。

 
31日(金) 本日のコラム409 暑い夏でした

 今年の夏は尋常な暑さでがありませんでした。地震、台風、猛暑となんでもありでした。体調を崩された方も多かったと思います。これから少しずつ涼しくなってきますが、疲れが一気に秋口に出てくる場合がありますので、健康には十分注意してください。また、運動会の季節になってきます。日頃運動していない方は、とくにケガをしやすいので気をつけましょう。病気やケガは無いのが一番です。