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池田医院・診療日記
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2020年10月 ようやく秋
1日
2日
3日 本日のコラム593 膝関節骨壊死症

 特発性、二次性、関節鏡術後の3種類がある。

1.特発性 50歳以上の中高年。急激な膝関節内側痛で発症する。男性<女性。夜間痛や荷重時痛がでる。軟骨下脆弱性骨折が原因。(内反変形や半月板損傷が関与)早期例は保存療法で症状消失するが長期間かかる。大腿骨内顆に多いのは他に比べて血流が乏しいためとされる。脛骨病変は稀。予後規定因子(病巣の大腿骨顆部に占める割合、肥満、骨粗鬆症、高齢、koshino分類StageIII,IV)
2.二次性 ほとんどがアルコールやステロイド。脂肪細胞を膨化させ骨内圧が上昇し虚血。45歳以下の若い年齢に起こる。大抵は両側性で女性に多い。痛みは徐々に増大。
3.post-arthroscopic 膝骨壊死 稀。半月板切除や軟骨形成術などの術後6−8週以降に生じる。関節鏡手術後の4%。半月板切除後に接触圧の変化に起因する。

 特発性膝骨壊死の単純X線分類 koshino分類
 StageI  症状+ 画像所見−
 StageII  荷重部の平坦化と骨吸収像 軟骨下骨の骨硬化像
 StageIII  荷重部軟骨下骨の陥凹
 StageIV  変性+ 関節裂隙の狭小化と骨棘形成

保存治療;病巣部が3.5平方p未満、顆部に対する割合45%未満のStage1。消炎鎮痛剤、筋力強化、ヒアルロン酸関注、免荷、外側足底板、ビスフォスフォネート、パルス磁気刺激。
手術治療;進行例。人工膝関節単顆型置換術、人工膝関節全置換術、高位脛骨骨切り術、骨移植、関節鏡、core decompression、骨軟骨柱移植など

4日
5日 本日のコラム594 内側半月板変性断裂

 中高年に多く見られる。MRIで偶然見つかることもよくある。加齢や過度の力学的ストレスにて部分的な変性がつながって断裂になる。フラップ形成しバケツ柄断裂が多い。変形性膝関節症を併発していることも多く、基本的には保存治療を行う、治療に抵抗性や変形性膝関節症の程度により手術を選択する。最低3ヶ月間の保存療法を行い、X線やMRIで変形性膝関節症の進行が無い(Grade1以下)場合に手術を行うことが推奨されている。(欧州スポーツ外傷・膝外科・関節鏡学会)

 →過去には半月板切除術が多くの例に行われたが、予後に保存療法とそれほど差が無かったので、手術適応はかなり限られてきています。バケツ丙断裂で症状が強い場合などで行う。
 
6日 本日のコラム595 膝滑膜ひだ障害(タナ障害) symptomatic synovial plica of the knee joint

 胎生期には膝は三つの隔壁にて形成され、胎生10週ぐらいで退縮する。なかには「ひだ」として遺残、膝関節の障害を引き起こすことがある。膝蓋内側滑膜ひだ、膝蓋上滑膜ひだ、膝蓋下滑膜ひだ、膝蓋外側滑膜ひだがある。臨床的には膝蓋内側滑膜ひだが問題となる。症状は膝蓋骨内側の痛みで、外傷後や運動負荷で症状が出てくることが多い。ひだとしての遺残は内側18.5〜80%であり、画像上認めても必ずしも症状が出ているとは限らないことに注意する。膝蓋内側滑膜ひだなら膝蓋骨内側の疼痛、引っかかり感が多いが、不安定性が主訴となることもある。治療は保存療法として消炎鎮痛剤などの対症療法に加えて、膝周辺の筋トレ、理学療法、滑膜ひだへのステロイド注射などを行う。これらで改善しない場合は、鏡視下にてタナを切除する。

 現在ではタナ障害であるからすぐに手術するのではなく、症状がどうしても改善せずに日常生活やスポーツで支障がある場合にのみ行う。かつてのようにタナ障害=手術では無い。
 
7日 膝周辺の滑液包炎 Bursitis around knee joint

 可動性の高い関節まわりには骨と皮膚、腱、靱帯との摩擦を軽減するために滑液包が多数存在する。滑液包は内面に滑膜が存在する袋状の構造だが、通常は膨らんでいない扁平な存在。体重や過負荷などで炎症が生じて袋状に膨らんでくることを滑液包炎という。

 膝周辺の滑液包炎は部位により上膝蓋滑液包炎、前膝蓋滑液包炎、浅下膝蓋滑液包炎、深下膝蓋滑液包炎があります。

 上膝蓋滑液包炎:大腿四頭筋〜大腿四頭筋腱の深部
 前膝蓋滑液包炎:膝蓋骨前面
 浅下膝蓋滑液包炎:膝蓋腱前面
 深下膝蓋滑液包炎:膝蓋腱後面
 ベーカー氏嚢胞:膝裏
 鵞足滑液包炎:膝内側下方

 いずれも打撲などの外傷や繰り返す運動による刺激で発症します。対症療法で消炎鎮痛剤、湿布、膝装具、穿刺後圧迫、ステロイド注射などが行われます。保存治療に抵抗する場合は、鏡視下もしくは切下に滑膜切除術を行う。
8日 円板状半月板 discoid meniscus

 半月板は膝の中でクッションの役目を果たしています。内側と外側に一つずつあります。通常は英文字の「C」の形をしており中央部はありません。ところが胎生期に中央部が退縮せずに、中央部にも半月板が存在し分厚くなっていることがあります。

 *MRI分類
 完全円板状半月板
 不完全円板状半月板(正常より大きいが脛骨軟骨面の被覆が80%未満)
 Wrisberg型 大きさに関わらず、半月板後方の骨性付着部が欠損し、Wrisberg靱帯のみで半月板後方が付着しているもの                                                                                                                                                         
 円板状半月板の多くは内側よりも外側半月板に見られます。スポーツなどで負荷が大きくなってくる時期に痛みや引っかかり感が生じてくることがあります。部活で膝の痛みが出て治ず受診するケースや中高年で発症するケースもある。症状は、膝の轢音、疼痛、引っかかり、膝くずれ、水腫、弾発膝、ロッキング、可動域制限などがある。円板状半月板の構造上、中央部は支える弾力性に乏しくクッション機能が低下している。こういったことから障害が出やすい。症候性(有症状)のものは両膝であることが多い。

 レントゲン撮影でも関節の合間(裂隙)が広くなって写る場合は分かることも、実際にはMRIで診断する。

 MRI;中節部の横径が外側脛骨関節面の半分以上に及ぶ。正常半月板に比して分厚い。

 
AhnのMRI分類 (円板状半月板)
 Antero-centoral shift  前方に転位
 Posterior-central shift  後方に転位
 centlral shift  中央に転位(外側部が内側中央に転位)
 No shift  転位なし

 治療;断裂の無い無症候のものは原則として経過観察。症候性で保存的(運動の調整やストレッチ、筋トレ)にて経過を見て症状が改善しない場合は鏡視下に手術を行う。全切除では無く、中央部のみ切除して形を整えて半月板を温存する手術を行う。転位している場合や後方が欠損している場合など縫合術を追加する。MRIで偶然見つかったような場合に予防的に手術を行うようなことはない。


 円板状半月板の15%程度に離断性骨軟骨炎(外側が多い)が起こるとされる。半月板の損傷に関わらず生じる。半月板全切除後や亜全切除後にも生じることがある。
 円板状半月板に離断性骨軟骨炎を合併した場合は、保存的治癒は困難で円板状半月板と合わせて手術療法を行います。円板状半月板の形成切除+修復で離断性骨軟骨炎が治癒するケースも報告されている。
9日
10日 
11日
12日 本日のコラム596 膝蓋骨脱臼 patellar dislocation

 10代の女性に多く、ダンスなどで膝を捻ったり、着地時などにねじれて膝蓋骨(お皿の骨)が外側にずれて脱臼する。自然に戻ることも多く、そのまま繰り返して脱臼することもある。脱臼時に大腿骨や膝蓋骨の関節面に骨軟骨損傷を起こすのでレントゲン検査やMRIを行う。骨折のない初回脱臼ではシーネなどの固定に引き続いて装具を作成して保存的に治療する。20−50%に再脱臼を起こす。大腿骨滑車の低形成を伴うことが多い。

内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)断裂はほぼ全例で起こる。反復性膝蓋骨脱臼や初回膝蓋骨脱臼では3ヶ月の保存治療を行って不安定感が残る場合はMPFLの再建術を基本とした手術加療を考慮する。
関節面に新鮮骨軟骨骨折を認める場合や、何度も繰り返し支障がある場合は、手術を考慮。手術は脛骨結節の内方移行、MPFL再建術、内側広筋アドバンスメントなど。

 爪膝蓋骨症候群:5万人に1人。爪形成不全,膝蓋骨の低形成あるいは無形成,腸骨の角状突起、肘関節の異形成を4主徴とする常染色体優性遺伝性疾患。しばしば腎症を発症し、一部は腎不全に進行します。
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